アナタが世界でボクが色。 | ナノ


今度こそ。

今日は6時前に起きて、一度部屋を出た。

廊下を歩きながら、徐に手にもった黒っぽいカードを揺らすと、きらりと蛍光灯の光が反射された。それを訳もなく繰り返してみる。

んふふ。

鍵っ子ってなんか嬉しい。家を任されてるって感じがする。
なんだろ…ちょっと誇らしい、みたいな。見せびらかしたい、みたいな?少し偉くなった感じ。全く偉くないけど。

そんな事を考えながら、目的地であるショッピングモールへと着くと薬局屋さんで、湿布と包帯を買ってきた。ついでに数日分の食材も買っとく。持て切れない食材は、部屋番号と名前を言えば届けてくれる。

殆どのお店が年中無休で便利だし、直に買えるのは凄くいい。
新鮮な野菜の見分け方なら本で修得済みなのである!けど、ここに売ってるのは全部新鮮だったから意味がなかった…

あ、勿論ネットで買う時は無農薬野菜を取り寄せていました!当初は、値段がただ高ければ新鮮で美味しいと思ってた自分を怒りたい。

それから、
昨日はそのまま寝ちゃったから朝ご飯食べないと、と思って早々に部屋へ戻ると学校の準備にとりかかった。

因みに支払いは、
携帯の電源を入れる事にはクリアしたけど、お財布アプリ機能?っていうのが開かなくて説明書と格闘してたら、店員さんが丁寧に教えてくれた。…ありがたいです。機械不馴れでごめんなさい…。

こんな事なら流君の見て覚えとくんだった。







その後
道に迷わず(ここ重要!)やっとのこと登校して、どうしようかと視線を感じながらも教室前をうろうろしてたら牧野先生に「何やってんだ中入れよ」と引っ張られて、教壇へと立たされた。まだHRの時間には少し早いのに、大体の生徒が賑わっている。
と…ととりあえず、あいさつ。一度深呼吸して口を開いた。

「ぁ、藍川伊呂波です。
よろしく…お願い、します。…来るの遅れてごめんなさいっ」

オレが話し出すと、ざわざわ話していた生徒達が一瞬にして静かになったけど、言い終えて慌てて頭を下げると途端にざわつく。


『初めて間近で見たー!』『なぜこちらへ?!』
『藍川様って、単体で見ると美人じゃね?』
『おいおい失礼だぞっ相良様に殺される!』
『昨日も相良様とご一緒じゃ無かったし!何かあったのかな?!』
『また他クラスに転校生も来たっていうのに、この頃なんなんだ?』


そんな声が全く混ざりあって聞き取れない。
視線を足元から、牧野先生にちらりと送ると「はいはいうるさいぞー」と手を叩きながら席を指示されて席についた。先生のお陰で若干静かになる教室。
ちらちらと視線を感じていると、HRを知らせる鐘が鳴った


「えー…知ってると思うが藍川は2ヶ月前来た転校生だ。諸事情でこのクラスに戻ったからよろしくしてやれー。
んじゃ、昨日渡して置いたプリント回収すっぞー」



昨日のプリントには
出場する種目と希望チェック欄。よく分からなかったので、希望なしにしておいたプリントを前におずおず渡す。前の子が「はいよー」と軽く受け取って貰えた。何か嬉しい。






◇◇◇




どうしよう……。

どうしたら……

窓側一番後ろの席。寝てても怒られないし、授業以外の事をやってても気づかれないベストポジション
授業に付いて行けてない自分がこんなサボリ専用(偏見)の席に座ってていいの…っ?
あ、でも一番前の席で寝過ごしてても怒られなかったな確か…。一番前も実は穴場なんだったんだなぁ。

一番の難点は…距離が遠すぎて黒板の文字が全く読めないことなんだけど。
何度、目を細めても見えないし、おまけに前の人達の座高が高くて見づらいです…。

視力落ちたかなぁ

そうだとしたら凄く落ち込む。緑いっぱい見てるのに…

あー…う、
流君に合いたい。


まだ二日目なのにこんなんじゃ…いつまで耐えられるんだろ。耐えられる気がしない………





けど





ちゃんと
が、がんばる…うん。



二日目前半にて
すでに決心が揺らいで、……いませんよっ!

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