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「で?」
「で…?」
急に話を切り替えられて首をこてんと傾げる。
「お前なんでこんなとこにいるんだ?」
気怠そうにこっちをみながらそう聞いてくる先輩。
それにひとつ瞬きをして返す。
「あ」
オレは即座に先輩の方へ姿勢を正して。(と言っても足が痛いので背筋を伸ばしただけ)
「あ、の!オレ、迷子でしたっ。…もしよろしかったら、教室までの道教えて下さいっ」
そう言うと
先輩は最初からそのつもりだったかのように「おー」と短い返事をくれた。
あまりにあっさりだったのでちょっとびっくり。
「…まぁここ広いからな。というか、こんな時間に外に出る用事があったのか?」
「えっと…教室に行こうとしてたら、なぜか…門のとこまで来てて…。どうやら、方向音痴だったみたいで。あ。さっき自覚したばっかです」
「……重症だな」
先輩が膝に頬杖をつきながらそう言うと、またもや呆れたように「出掛ける時は、常に地図持ち歩くようにしろよ」と助言を頂けた。
確かに持ってた方がいいかもと素直に頷くと「そろそろ行くか」と呟いて先輩はゆっくり背を向けてきた。
それを「?」を浮かべてじっとその背中を見る。広くて男らしい背中。肩に掛けただけのブレザーの裾が風で揺れる。
それを何となく見ていると、チラリと先輩が視線だけ向けて来た。
「…早く乗れよ」
「ぇ…?」
「その足じゃ歩けないだろ。怪我人を歩かせる程落ちぶれちゃいない」
「えっ…だ、大丈夫です!…まだ歩けます!折れてないのでっ」
「いやそう言う問題じゃねぇよ…」
でも「こっからあと20分は歩くぞ」とダメ押しされたり、さっき転けた拍子で腫れも痛みも悪化したりして、流石に20分は辛いかもしれない…と
渋々先輩の首に腕を回した。
き、緊張するっなんか!
…ぅー…
「ぁ…あの、失礼します…」
おずおずと遠慮がちにそう言って少しだけ寄りかかると、スッと何事もなく立ち上がった。ちょっと内心びっくりして口を引き結ぶ。
「本当に高校生か?」
そして先輩の一言。
「えっ?…ぁ、はい。高校生です」
先輩の今更な質問に不思議に思いながらも素直に応える。
「軽すぎるだろお前」
「そうなんですかっ?」
高校生の平均的な体重とか知らないしなぁ
んー…まぁ確かに筋肉というものが無いし細いって言われた事あるけど…でも先輩が力持ちなだけなんじゃ。先輩筋肉あるし。
あ、でも軽い方が流君的にいいのかも。
だって直ぐ抱っこされちゃうんだもん…。これ結構悩みだったりする。
ううん!そんなんじゃ駄目だよね!まずは徐々に筋肉つけて自分で歩かなくては!邪魔にならないようにっ(切実に)
最終的にはムキムキにねっ
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