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帰ってきた流君は、
片手に大きな紙袋を軽々と持っていてソファの上へそれを無造作に放った。
「…重っ」
ソファの横へと移動させようとしたら、凄く重かった。
よくこんな重いの片手で持てるなぁ。…まぁ、片手でいつも軽々オレを持ち上げてるしね…このくらい簡単か…。何か複雑だけど。
気を取り直して中身は、えーと教科書と辞書?と制服。
…制服!学校の人たちが、みんな着てたやつだー!
黒っぽい紺のブレザーに、桜をモチーフにした校証のピンがとまってる。ネクタイも黒と赤の斜めぼーだー?しましま?。でも流君のネクタイは黒と青だ。何でだろ…。でもなんかおしゃれー
そうネクタイをじっと見ていたら、ぐーとおなかが鳴った。徐に、おなかを擦る。
そういえば、
おなか減ったかも……
…あ、でも
「流君。今日の夕飯の材料ないんだけど、どうしよ…?」
朝から何も食べて無かったし…夕飯は食べたい。
それもこれもオレが起きるの遅かったせいですがっ
いつもはちゃんと
起こしてくれるんだけどね。ほんとだよっ
「…えと、食堂?ってあるのかな。行ってみる?」
通販で材料取り寄せてる時間なんてないし、そう提案してみた。
だってハリー○ッターのお城には食堂?あったしね!
うん。あるはずだ。
そう反応を待っていると、流君はいつの間にか吸っていた煙草を灰皿にグリグリ押しつけて、口を開いた。
「…行くぞ」
「食堂に?…わっ」
一言そう言って再度オレを抱えると、無言で玄関へ向かい始めて内心焦る。
「ちょ、…歩けるってばぁっ。あ、手を引いてくれたら転ばないよっ?」
流君の服を掴んで訴えるけど、その訴えにも華麗にスルー。気をつけるのにー。
オレがうなだれてる間に、颯爽と玄関につくとドアノブの上に黒っぽいカードをかざして、ドアを開けた。
「ほわぁ。はいてくってやつだねーっ」
すごすぎだね!
※自分家も同じようなものだったりする。
ふむ。なるほどっ
出る時も鍵いるのかぁ。開かないはずだよ。
「流君。カードもういっこないの?」
オレも持ってた方が何かと便利だよね。の、考えのもと聞いてみた。
いやもう軽い考えで。
「あ゛?」
「う、嘘ですっ!何でもないです…」
う、うかれました…
ごめんなさい…
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