絶対って、何か気に食わないな。

ふと思った。

そう、気に食わない。元々、ひねくれた性格だし、反発する体質?だからね、わたし。ふん!

まあ、周りから見て可愛くない性格であることは、自分自身でも重々承知なわけで。

でも、気に食わない。それに、変わりない。

星月学園には、それに当てはまる人が居る。ここの生徒たちは、みんなソイツに憧れてるんだけれど。


「おい、なまえ!」

「……」


ああ、幻聴が聞こえる…。

ばっしーんとドアが開いた。

うるさい。はっきり言っても言わなくても、うるさい。もう一回言うけど、うるさい。


「なまえ!聞いてんのか!」

「……」


無視だ無視。


「この俺を無視するとはいい度胸だな!」


みょーんと頬をのばされる。
しかも手加減なし。痛い痛い痛いいい…!


「はなへ!(離せ!)…何すか、不知火かいちょー」


手をわたしの頬から離して、満足そうに我が星月学園生徒会長、不知火一樹が頷いた。


「よし」


よしじゃねえよ。

スッゴくつっこみたい。でも、わたしはそうしない。つっこんだら長くなりそうだから。


「ちょっと来い!」


がっしり手首をつかまれた。


「やだ」

「…生徒会長命令だ」

「もっとやだ」

「お前な…。俺がここに来た理由分かってんだろ?」

「全くわかりませーんっ。…青空くんお気に入りのカップ割ったのは、わたしのせいじゃない!」

「お前、分かってんじゃねえか!」


昨日、不知火会長がわたしを追いかけ回したためにカップを落としてしまったのだ。

不知火会長の額にイラつきマークが見えた気がする。


「1人抜け駆けさせるか!」

「いいじゃん!不知火会長怒られ慣れてるし」

「そういう問題じゃねえだろ!」


会長、怒られ慣れてるのは否定しないんだな!

しかも、何で会長、割れたカップ持ってきてんの!?


「言い逃れできないじゃん!!」

「…あ。それもそうだな。ハハハ…」


今更、気付いたように不知火会長が乾いた笑いを浮かべていた。


「んな呑気な!?頭まで老化!?この不知火じいちゃん!」

「は?な、なんでそうなんだよ!」

「そうなったんです諦めて」


どもってるし、不知火会長。どもってんだもん、不知火会長。いや、じいちゃん。

ばたんとドアが開いた。

まさか、青空くん!?

もんどりうって、会長と二人壁に張り付いた。


「ぬ?ぬいぬいもなまえも、何してるのだ?」

「「…アハハハハ」」

「びっくりさせないで、翼くん」

「ぬ?」


あっぶねえ…!!




捻くれ者は素直じゃない
素直で可愛くなんてなれやしないわ


(ぬ?それで何がどうしたのだ?)
(いやいや、青空くんかと思ってさあ)
(?)
(いやあ、カップ割っちまってよー)
(そらそらのか?ぬいぬい、間抜けだぬーん!ぬはははは!)
(言っちゃってよー、翼くん)
(お前もだろ!)
(…何やら楽しそうですね?)
((ギクッ))
(あ!そらそら!)


不知火会長と幼なじみヒロイン


20110405

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