こんこんと扉を叩いた。中からおーとかいういつもの返事が聞こえたので、そのまま扉を開けて顔を出す。


「えっと、草鹿副隊長…」

「…あん?」


ぴたと中の人物と視線があって、数回瞬きを繰り返す。あ、挨拶挨拶…。とりあえず、腕の中でいっぱいの荷物を持ち直して、ひとつ頭を下げた。


「あ、斑目三席、こんにちは」

「おう」


ひじを突いたまま、つまらなさそうに手を挙げた。綾瀬川五席の姿が見えないのは珍しいななんて考える。書類が並んでいるのを見る限り、雑務でもこなしていたのだろうか。…イメージわかないな、あんまり。

ふと思いついたように斑目三席が口を開いた。わたしの腕の中でいっぱいの荷物…金平糖やお菓子諸々を見て、おいおいと眉間に皺を寄せる。


「…って、オメエも毎度毎度律儀だな。放っときゃあいいのによ」

「そういうわけにも…。せっかく誘っていただいてますし。それに、私も楽しいですし、いいじゃないですか、たまには」

「たまにじゃねェだろ、たまにじゃ」


こぼれ落ちそうだった金平糖の袋を斑目三席がつまんで軽くつっこみを入れられた。草鹿副隊長に誘われて、お茶をしにきたのだ。最近、習慣化しているのは気のせいじゃないだろう。草鹿副隊長は金平糖が好きらしく、頼まれてしまったのもついでに。

見た目じゃあそうとは分からないだろうが、私は泣く子も黙るというか、…縮みあがる十一番隊だ。…一応。

言って悪いが、柄の悪い十一番隊だ。女性の隊士だってほとんどいないし、いるとすれば、喧嘩っ早い男の猛者ばかり。最初は、私じゃなくったってビビるだろうけど、斑目三席だって綾瀬川五席だって草鹿副隊長だって、意外と話せば普通の人だ。元十一番隊の阿散井副隊長だって良い人だしね。でもやっぱり更木隊長はどうしても苦手。霊圧に近寄れない。…話せるけど。


「ってことは、今、暇ってことだよな?」

…何なんですか、その悪い顔は。

「…まあ、暇ですけ「んじゃ、手伝えよ」…はーい」


小さく手を挙げて、渡された書類を受け取った。予想はついてたけどね。まあ、事務処理は得意だし、待ってる間は仕方ない、やってあげよう。…なんちゃって。




とりあえず
わたしはここにいる


(そういや、最近鍛錬してるとこ見たことねェな…。サボってんのか?)
(…してますよ。端っこの方で。目立たないように)
(ヘェ…。偶には、俺と殺り合うってのはどうだ?)
(い、嫌ですよ!私、死んじゃうじゃないですかって、あ、綾瀬川五席)
(あ、みょうじ、来てたんだ。お茶淹れてくれる?喉乾いちゃった)
(あ、はい…って、私ですか?)
(うん。え、この僕が淹れるの?)
(ハーイ…ワカリマシタイマスグ)
(…弓親、偶には自分で入れろ)
(そう言いつつ、一角だって淹れてもらうんだからいいんじゃないの?)
(……)
(、しょうがないなぁ)
(え、手伝ってくれるんですか?)
(うだうだしてるの美しくないし、男じゃないからね。ほら、一角も)
(…仕方ねえな)


20111213

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mokuji



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