こんにちは、シュテルンビルト。

ここは孤立した都市であるらしいが、非常にハイテクノロジーな世界だと思う。パソコンや細かい電子機器が苦手である私にとっては物凄く。それに、超人的な能力を持つNEXTや、ここの人々を守るヒーローまでいるのだから。

空を見上げれば、写り込む高い高い高層ビル。一見平和そのもの。とんとんとほどけた靴紐を結びなおして、ふと思う。ヒーローが度々出演する"HEROTV"なんていう番組もあるくらいだから、裏で犯罪も実は多いのかもしれない。平和って大切だけれど、難しい。簡単じゃないね。


「行ってきます」


そんなことを思いながら外へ飛び出した。無理やり押し込んだご飯が胃の中で揺れている。




とりあえず、街を歩く。ふと道路を挟んで目の前の店に目を向けた。そういえば、洗剤足りなくなっていたことに気づく。ここ、渡れば近かったななんて思っていると、ばりんと勢いよく音がした。足元を見れば、ガラスの破片。ちょうど真後ろのガラスが割れたらしい。


「?」


なんだろうななんて軽い気持ちで振り返れば、覆面レスラーのように体格のよい男が二人。手には、テレビで見たことしかないような拳銃が握られている。頭がついていかない。


「え?まさか、ごうと…うわ!?」

「来い!!」


手を引っ張られ、腕にがっしりと首をホールドされた。足が軽く浮く。ぎしりと首がなった。苦しい。

え、やだ、何これ…?

意識が薄れる中、がっしゃんと音がして、男の悲鳴が響いた。薄く目を開ける。判ったのは煌びやかな光を浴びた影。歓声とアナウンスと激しい照明。どこから現れたのか、ステージが設置されている。


「わたしの氷はちょっぴりコールド!」


…何ですと?




「悪いけど、その子は返してもらうわ!」


高らかに宣言したその人の手から氷がのびていく。確か彼女の名前は、ええと、ブルーローズだったかな?

確かにヒーローは好きだけど、物覚えの悪い私にとっては名前を思い出すまで一苦労。ゴメンナサイ、これからは覚えるから、早く助けてほしい。なんて思いながら目を閉じる。ああ、もうだめだ。限界です。ここまで気を失わずにいたことをほめてほしい。頭が重くなる。そして電源を切るように視界が暗転した。



お願い、ヒーロー
烏滸がましいけれど、早く助けて


20110923

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mokuji



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