ぼやけたように揺れる金髪。
まるで、涙で溜まった目を通して見ているかのよう。そのうち、金色と肌色のぼやけすぎた塊みたいになってしまう。

ちくりと胸が痛んだ。

あの時は何も感じなかったはずなのに。煙がのぼっていく。そして、空気に混じって消えた。



あの時の俺の気持ちをお前は知らないだろ?でも、責めようとかそういう気持ちが俺にあるわけじゃねえ。可笑しいよな?

ああ、分かってる。

そりゃあ、俺だって不思議だよ。なんで、こんな気持ちになるんだろうな?これが俗に言う愛しいってことなのか、それすら俺には分かりもしない。な、笑うだろ?



自嘲気味に彼は笑う。そんな彼が苦しそうで寂しそうで、私は目が開けているのが辛くなって。

違うよと思わず首を振った。拳を握り、手のひらに爪が刺さってちくちくと痛い。



そんなことない

笑わないよ

笑うわけないじゃない


震えたような掠れたような聞き取りにくい声で言う私は何故かこれでもかってくらい必死で。それに驚く自分がいる。

その必死さは、ただ貴方と離れたくないだけの自分勝手な理由でなのか、単なる哀しい人間のエゴってやつなのかふと考えてみるけれど、やっぱり自分じゃわからない。


私も貴方も互いに結局分からないことだらけなんだよ。


驚いたように彼が振り返る。私は目を見開いた。ぽとりと煙草が地面へ着地する。彼はそれに気づかない。


なんで、こんな気持ちになるんだろう。


彼の言葉を反芻する。



あのね、静雄。

私もだよ。私もなんだ。なんで、こんな気持ちになるのか、不思議でたまらない。不思議でたまらないよ。


一言で言うと、人間って、本当に面倒なんて気怠そうに吐き出してみたいわ。




すれ違い彼と彼女
本当は好きなくせに


20110624

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mokuji



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