カウントダウン | ナノ



プロローグ(4/5)


 
 
 
 
 
昼休みが終わり授業が始まる。と思ったがいつまで経っても先生は来ない。一体何事か、と思っていたら。


「おいやったぜ!先生が急用が入ったから自習だってよ!」

「マジで!?よっしゃあああ!」


一番最初に騒ぎ始めたのは男子。そしてその次に騒ぎ始めたのは女子。女子が全員ロイの所へ集まり質問をし始める。


「あのさ…。ちょっと静かにしてくれって」

「うわー…。可哀想に」

「ロイさんを助けてあげたら?」

「大丈夫でしょ」


助けても『余計なお世話だ』とか言いそうだし。すると一人の女子がロイに「ロイ様はどういう女の子が好きですか?」と質問をする。その質問を女子は興味を持ったのか一気に静かになった。私もちょっと気になるし…聞いてみよう。


「しいていうなら幼馴染みのような性格は嫌だな」

「は!?」


ちょっと待て。その幼馴染みってどう考えても私の事だよね?女子が一斉に私を見て笑った。な…な…!


「どういう意味よ!」


バンッと机を叩きロイの元へ歩く。囲んでいる女子をどかして目の前に立つとロイを睨んだ。が、面白そうにロイは笑うだけ。


「どういう意味ってそのままの意味だけど」

「あのね…!」


堪えなきゃ。そう思って言いかけた言葉をなんとか呑み込む。周りの女子が怖いから。…ここで下手な事言ったら絶対マズイ。って思ってたのに―…。


「あのー。お二人って付き合ってるんですかー?」

「え?ち、ちがっ…!」

「そんなわけないだろ。俺はこいつなんて好きじゃないし。ただの幼馴染みだ」


不意に訊かれた質問に私が否定するとロイが言う。"好きじゃない"。"ただの幼馴染み"。この言葉が胸に突き刺さって痛い。ここまでバッサリ言われたのは初めてだった。女子がいるから、って理由で言ったんじゃない。ロイはそんな事を冗談で言わない。…本気で言ったんだ。


「ですよねー!良かったですー!」

「付き合ってるわけ無いですよね!」

「アイリ…」


皆の笑い声が教室に響く。ロイの顔がまともに見れない。涙がこみ上げてきて泣きそうになった。だけどそれを堪える為にロイの机を叩いた。その影響で皆が静かになる。
 
 
 
 
 

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