後編(8/10) 「アイリ。ちょっと来なさい」 リビングに行くと、お父さんにそう言われてソファーに座る。ど、どうしたのかな…。やっぱりロイの事? 「その頬の腫れ…学校の女子からだね?多分ロイ君のファン、かな」 「ち、ちがっ」 「隠さなくていいのよ」 お母さんが心配そうな表情で私に氷の入った袋を渡してくれる。それを頬に持っていくと気持ちよかった。…二人には、言わなくてもわかるんだね…。 「…アイリ。ロイ君と関わると今後ともこんな事をされるかもしれないんだ。それでもロイ君を好きでいるつもりか?」 「確かにロイ君はいい子だわ。でもお母さん達は心配なのよ」 ああ、本気でお母さんとお父さんは私の事を心配してくれているんだなってわかる。私は二人を見るとフッと笑った。 「勿論。私はロイの事を好きでいるよ。あんな事されてもこの気持ちは変わらない。…だって、本気で好きなんだもん」 私はロイを守りたい。一人で悩んでいるのを助けてあげたい。いつも私を守って、助けてくれてたロイを今度は支えてあげたい。この気持ちは誰に言われても変わらない。 「…はぁ。お前はホントにお母さんにそっくりだな」 「え?」 「あらそう?でも確かにその覚悟、気に入ったわ」 ため息をつくお父さんとは反対にお母さんは楽しそうに言う。しかも「ここで諦めるなんて言ったら叩いてたわ」なんて新聞紙を持ちながら。いや怖いから。 「わかった。ならお父さんは何も言わない。ロイ君と頑張りなさい」 「うん!」 「それにアイリみたいな子、ロイ君にしか任せられないわ」 「それもそうだな」 「どういう意味!?」 二人は楽しそうに笑う。私まで笑ってしまった。…明日で最終日。ロイに私の気持ちが本気で伝わりますように。ただそれだけを願った。 [戻る] ×
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