カウントダウン | ナノ



後編(5/10)


 
 
 
 
 
「…なあ」

「へ、何?」


外の景色を見ながらロイが私に話しかける。突然の事に変な声が出てしまったが、その事にロイは気にしなかったからまだよかった。


「アイリっていつから俺の事を好きになってたんだ?」

「…えーと、あの時かな。ロイと出会ってから数ヶ月経った時にブランコで話したでしょ?」

「ああ、夢の話のやつか?…けどお前にそういう感情を持たせる事を言った覚えなんてないぞ俺は」

「ううん、あったよ」


いきなりそんな質問をされて焦ったが答える。だけど疑問に思ったのかちゃんと私の事を見てきたロイ。朝は思い出せなかったけど、今はもう大丈夫。ちゃんと思い出したから。


「私はロイに夢があるのって聞いたよね」

「…言ったか?」

「うん。それは何って聞いたら…ロイは私の事を守る事、って言ってくれたんだ」

「!」


ロイの目が大きく見開く。何でロイがそう言ってくれた理由はわからない。多分ロイも忘れているみたいだからわからないだろう。それでもロイは。


「その時から本当に私の事を守ってくれてる。私を助けてくれてる」

「何言ってんだ。今日なんて全く…」

「違うよ。今日とか関係無い。いつも守ってくれてた。助けてくれてたよ。ありがとう」


私はロイに何度守られているのだろう。何度助けられたのだろう。優しいロイに私はもっともっと惹かれて。ずっと一緒にいたいって思った。


「ロイ…好き」


いつもとは違う。いつもなら馬鹿みたいに好きと連呼するが、今は違った。一回だけで良かった。改めて伝えたかったから。ロイは立ち上がるとこちらに近づいてくる。


「…っ、アイリ…」


ロイの手が私の頬に触れる。その手が優しくて泣きそうになった。お互いにしばらく見つめあったまま…先に口を開いたのは。


「…ったく、そんな真剣に言うなよ。調子狂うだろ」

「…は?」


ロイだった。ロイの笑い声が響く。私、真剣に言ったのに何この反応…!?何だか物凄く恥ずかしいんだけど…!


「〜っ!ロイの馬鹿!」


丁度下まで降りてきたみたいで扉を開けられる。あんな恥ずかしい事言ったのに何なの!?最低!
そう思いながら出ていったらグイッと手を掴まれた。勿論掴んだのはロイ。


「ちょ、離してよ!」

「離すかよ」

「え…」


ドキン、と大きく胸が鳴った。離すかよ、って…何で…?
ロイの顔を見ると真剣な目で私を見ていて、一層ドキドキが高鳴る。


「お前一人で帰れるのか?」

「…あ」

「…やっぱりな。ほら、帰るぞ」


そういう意味だったのか。うっわ、変な勘違いしてしまったな…。なんかかなり落ち込むよ。本気で好きって言ったのに相手には本気で言うなとか言われるし。最終日どうやってアタックすればいいんだろう。そんな事を考えながら、私はロイについていったのだった。
 
 
 
 
 

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