カウントダウン | ナノ



前編(8/8)


 
 
 
 
 
「…な、んだこれ…!辛っ…!」

「え、辛い?」

「ロイさんこれ!」


ピーチが慌ててロイにお茶を渡す。辛い?卵焼きに辛いものなんて入れた覚えがない。私も自分が作った卵焼きを食べる。涙が出るほど辛くてお茶を勢いよく飲んだ。


「おま…え、なぁっ…!」

「ご、ごめ…!だって…!」

「もうお前の弁当なんか絶対食わねぇ!」

「ロ、ロイ!」


ロイは何処かへ行ってしまう。そんなロイを追う事も出来ずに私は呆然と行ってしまった方を見ているだけ。だけどしまいには悔し涙が頬を伝う。


「…アイリ、大丈夫?」

「こんなんじゃ、なかったのに…!」


ただロイの笑顔が見たくて作ったのに。それなのに怒らせてしまって、更には何も出来ない自分にイラつく。そんな私の傍にピーチはずっと隣にいてくれたのだった。










「はぁ…」


放課後。あの昼の一件からというもののロイとは一切喋っていない。目も合わせられなかった。帰りに頑張って話にいこうとしたら多分バイトだったのか先に帰ってしまうし。私は誰もいない教室の中でボーッと外を眺めている。帰ってもいいのだけどこんな調子じゃお父さんに心配されそうだから。


「…ん?あれって…」


目に入ったのは金髪の髪の女子と黒髪の男子。…あれ、ピーチじゃない?って事は隣にいる男子が例の間違えてラブレターを渡した相手?ここからじゃ見えないけど仲が良さそう…。


「…やだ、いいところにいたじゃない」

「?…何ですか?」


扉を開けて入ってきたのは先輩方。その後ろには同級生と後輩の女子。その人達が一斉に私を睨んできた。


「ねぇ、ちょっと来てくれない?」

「…いいですけど」


特に断る理由なんて無いから私はその人達についていったのだった―…。















           後編へ続く…
 
 
 
 
 

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