カウントダウン | ナノ



前編(6/8)


 
 
 
 
 
「…アイリ。お前何か隠してないか?」

「!」


今度は後ろからロイの声が聞こえて振り向けない。やっぱりロイは鋭い。でも。


「例え私が隠してたとしてもロイは直ぐにわかるでしょ?」


振り向いて笑顔で言ってもロイは無言のまま。とにかく授業が始まるから行かなきゃと思い、行こうとすると腕を掴まれた。ロイだ。


「先生には何て言うつもりだ?」

「他のクラスの子が借りていったって言うよ」

「…ちょっと待ってろ」


ため息をついてロイが教室に戻っていった。直ぐに戻ってきて私に差し出してきたのは…スリッパ?


「バイトの時に時々履いているやつ。それでも履いとけ」

「え、いいの?」

「いいも何も、裸足よりかはマシだろ」

「ありがとう…」


ロイの優しさに胸が暖かくなる。「礼なんか言うなよ、気持ち悪い」とか聞こえたけど、今はそれすらも気にならなかった。ロイが私の為に、と思うと嬉しくて堪らないよ。


「二人ともラブラブね」

「…でしょ!私ロイの事好きだもんね!」

「わかったわかった。ほら行くぞ」


呆れながら先に歩いていくロイに私とピーチは走って追いかける。その後違うスリッパを履いているからか注目をあびたが気にもならなかった。…ありがとう、ロイ。大好き。
 
 
 
 
 

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