カウントダウン | ナノ



前編(5/10)


 
 
 
 
 
「…どうしよう。カッコ、よすぎ…」


あれから私はロイが働いているというレストランに着いて外から眺めていた。ロイは優しい顔をしてお客さんを席へと連れていく。因みにロイのファン達もロイが働いているのを知っている人は知っている為かレストランにいた。私…幼馴染みなのに何も知らなかったな…。


「とりあえず帽子くらい被っていよう。その為に家に帰ったのだし…」


流石にこのまま行ったら、というか私だったらロイは怒りそう。だから帽子を被った。制服から私服にも変えたし、そう簡単にはバレないだろう。…でも私はお客さんになる訳だし普通に接してくれるのかな。考えても仕方がない、とにかく入ろう。


「いらっしゃいませ」

「!」


中に入るとやはり話しかけてきたのはロイ。帽子を深く被りながら私はチラッとロイを見る。レストランの服が似合っていて、微笑んでいるからか輝いているように見える。め、目を合わせられない…!


「一名様でございますでしょうか」

「は、はい!」

「こちらへどうぞ」


なるべくバレないように高い声で答えてロイについていく。椅子に座って何処かへ行ってしまったロイを見て息を吐く私。…大丈夫、今の所バレてない。


「ロイ様…ホントカッコいい…」

「王子様って感じよね!」

「感じって言うより王子様!」


どうやら私の後ろには学校の人達がいるみたい。ロイの話はその人達だけじゃなくて、学校の人達以外の女性もロイの事を見てうっとりしている。むむむ…。


「お待たせしました」


そこで水が入っているコップがやってきて私は直ぐ様それを飲んだ。後ろの人達がキャーキャー騒いでいるのを聞いて何事かと思って水を持ってきてくれた人を見る。


「…アイリ?」

「あっ…!」


しまった。いくらなんでも座っているのに見上げたらそりゃあ顔が見える。ロイは私だとわかって驚いた表情をしていた。だけど。


「…お客様。少しこちらに来ていただけますか」

「えっ…わっ!」


グッと手を掴まれて帽子が落ちる。学校の人達が私とロイを見て騒いでいた。そんなことも気にしないでロイは歩いていく。私もそれについていくしかなかった。
 
 
 
 
 

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