「よし」


夜。深呼吸してから私は扉の前に立ち扉を開け部屋に入る。中にいたのはティムで、ベッドに寝転がっていた。


「あ、あんた!何で入ってきてるんだよ!」


少しだけ緊張をしていたからかノックをするのを忘れてしまっていた。まさか私がいると思いもよらず、気づいた時には驚いた表情で体を起こし指をさしてくる。そんなティムに私はもう一度軽く深呼吸をする。


「…改めてになるけど、私は明。ここに入った理由は私が寝る予定の部屋だから。ここに戻ってくるのは当たり前だよ」

「え…?」


そう言うとティムは信じられないというように口を開けたままさしている指を下に下げる。そして慌ててベッドから降りる。…そこはやっぱり気にするんだね。するとティムは部屋から出ていこうとしたので私は服を掴んで止める。


「今出ていってあの人達がいたらどうするの?」

「…う…」

「それにティムが一人でいる時にでもあの人達が来るかもしれないのに」


脅しに聞こえるかもしれない。でも本当にそうなったら大変だ。だからスヴェンさんにお願いしてティムを私の部屋にいさせてほしいと言った。何かあった時守れるから。そう説明するとティムは私をまじまじと見る。


「…あんたみたいな人が、俺を?」

「た、確かに頼りないかもしれないけど…頑張って守るから!」

「頼りないなぁ…」


バッサリ言われて心に刺さった。そ、そりゃね、私だってまだ実際に人斬った事は無いし、てかまずまともに闘った事無いし?言われても仕方ないけど…だからって…。


「な、何で泣きそうなんだよ」

「…な、何でもない!とにかくティムはここにいて!いいよね!?」


じゃないと何でスヴェンさんにお願いしてティムをいさせたかわからなくなるじゃん!
渋々ながらティムはいてくれるみたいだ。…というか私が落ち込んで泣きそうだったからか気を遣われた気もするけど…。しかもベッドはあんたが使えよとまで言われる始末。どう考えても私の方が年上なのに。
お礼を言ってベッドに座る。ティムも床に座るが会話はなかった。


「…父ちゃん…」

「…仇討ち…か」

「…あんたはどう思ってるんだ?」

「え?」


そんな質問されると思ってなくて思わず聞き返してしまう。でも、はぐらかす事は出来ない。だから私は思った事を素直に口にする。


「…ティムがいいのなら、私は止めないよ。そりゃね、最初は何て物騒な事言ってるんだーって思ったけど…。でもティムの気持ち、わかったから」


ティムの目を見てそう言ったらティムは少しだけ嬉しそうな、だけど恥ずかしそうな表情をする。


「…だけどね。仇討ちなんてしても…何も変わらないと思う」

「………」


変わるとしたら、それはきっと…。そう考えていると突然外から車が止まった音が聞こえてカーテンを少し開けて外を見る。すると昼間見た黒帽子の人達が大勢いた。ティムを探しているのだろう。


「…あいつら…」

「…大丈夫。私が必ずティムを守るから」


私はティムにそう言い、自分の剣に触れた。















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