あれから私達は着替えてアネットさんの店へ向かった。ガチャと扉をあけるとアネットさんとスヴェンさんが見えた。


「こんにちは…」

「どうも…」

「二人とも、もう大丈夫なのか?」

「うん、平気」

「大丈夫」


安心して笑うスヴェンさんにイヴちゃんは大事な話とは何かと聞く。それに対してスヴェンさんは言いにくいような返事をした。










「?…お別れ…?」


突然の事に私は頭が真っ白になる。だけど今一番動揺しているのはイヴちゃんだろう。


「…ああ。俺とトレイン、そして明は明日にでも次の仕事に出かける予定だ。だがもうこれ以上お前を連れていく事はできない。これからはアネットの所でお世話になるんだ」


アネットさんにはもう話をつけている、と言うスヴェンさん。イヴちゃんはまだ動揺して「ど…どうして…?」と聞いた。スヴェンさんは言う。「お前の…幸せのためだ」と。掃除屋は常に危険と隣り合わせ。いつまた今回のような事が起こるかわからない。もしかしたら次は命を落とすかもしれない。


「俺はお前をこれ以上傷つけたくねぇんだ。わかってくれ…」

「…!」

「明」

「トレインさん…!」


それは違う、と言おうとしたらトレインさんに止められた。どうして…?


「…私…また独りぼっち…?」


震える声で言うイヴちゃんに胸が締め付けられる。だけどスヴェンさんは二度と会えないわけじゃない、ちょくちょく会いに来ると言う。


「お前と居た四ヶ月…楽しかったぜ…。ありがとう…イヴ…」


スヴェンさんも苦しい表情で言うからイヴちゃんは何も言えなくて涙を流した。…やっぱり納得出来ない。


「…私、スヴェンさん達と行かない。イヴちゃんといる」

「何?」

「…明…?」


イヴちゃんに近づいて涙を拭いて笑う私。三人はよくわかってない表情をするがわかるように言った。


「イヴちゃんの傍にいるよ。落ち着いたら二人で旅に出てもいいし、イヴちゃんの好きな様にしたらいいと思う」

「え…?」

「ば、馬鹿な事を言うな!二人だけで旅なんて…!」


アネットさんに預けるという話になっているのに、意味が無い。そう言いたいんだとは思う。勿論スヴェンさんがイヴちゃんの身を案じているのはわかってる。それでも納得なんて出来ない。


「スヴェンさんは間違ってる…!それに気づいてるくせに!」


それだけ言い放ち、私はイヴちゃんを連れてアネットさんの店の中にある部屋に入っていった。


「………」

「…スヴェン、戻ろうぜ」

「トレイン…。いいのか?」

「…あいつが決めたんだ。俺達がとやかく言う事じゃねぇだろ」


目を閉じながらトレインさんは言い、スヴェンさんと出ていったのだった―…。















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