「イヴちゃん大丈夫かな…」


寝ているイヴちゃんの様子を見て心配する私。隣にはトレインさん。…先程の事があってからかあんまり話してない。だ、だって恥ずかしいんだもん…!
そんな事を思っていたらフジムラさんが聴診器を持ってイヴちゃんに近づいていった。と、その時。


「ハッ!」

「へ?」


突然イヴちゃんが目を開けて目の前にいるフジムラさんを変身で金棒にして殴った。倒れるフジムラさん。驚いて何も言えない私。


「はぁ、はぁ…。…?こ…ここは…?」


息を切らしながら言うイヴちゃんにトレインさんが「いきなり金棒とはお茶目だなぁ、姫っち」と笑いながら言う。するとこちらに振り返る。


「よっ!」

「ト…トレイン」

「イヴちゃん!」

「明…」


そんなイヴちゃんに泣きながら抱きつく私。良かった、良かったイヴちゃんが目を覚まして…!


「大丈夫?痛くない?」

「平気。…明は?」

「私なら全然!」

「良かった…」


ギュッと抱きしめ返してくれるイヴちゃん。だけどどこにいるのかわからないため「ここ…どこ?」と聞く。


「知り合いの診療所だよ。ワケあり患者専門の闇医者だけどな」

「闇医者…」


そう呟き先程殴った相手を見る。闇医者とは勿論フジムラさん。気を失っていたフジムラさんは少し経つと直ぐに意識を取り戻し、イヴちゃんの包帯を取っていった。特に怒ることはなく、普通に包帯を取ってくれるフジムラさん。


「しかし本当にほとんど傷がふさがってるな。…スゴイもんだ。もう包帯も必要ないなこりゃ」

「…二日も眠ってたなんて…」

「びっくりしたよね…」

「あのマスクヤローは俺がぶっ飛ばしておいたぜ。二度と悪さできねぇようにな」

「!…じゃあそのケガ…」

「やっぱり…!」

「カスリ傷さ」


そう笑うトレインさん。だけどあちこち傷があり凄く心配。


「…君も驚いたよ。突然傷が無くなったからね」

「あ…はい…。すみません…」

「いやいや、かなり危うい状態だったからね。良かった」

「…明、それって…」

「うん、想像通りだよ」


イヴちゃんとトレインさんはきっとわかっているだろう。ユヅキさんだと。フジムラさんは知らないから首を傾げていたけどね。
それから全ての包帯を取るとフジムラさんはイヴちゃんにスヴェンさんから預かっていたという着替えが入った袋を渡す。私の着替えもあるみたいでそれを受け取った。


「…スヴェンいないんだ…」

「ん?ああ…。あいつはアネットの店に行ってるよ。新しい標的の情報が手に入ったとかでな」

「…そう…」


ギュッと持っている袋の持つ部分を握るイヴちゃん。…珍しいな、スヴェンさんがいないなんて。イヴちゃんより標的の方を気にするなんて…おかしくないかな。それにフジムラさんの様子も少しおかしいような…。気のせいかな…?


「着替えたら君達もトレインと一緒に店に行くといい。スヴェンから…大事な話があるそうだよ」

「大事な…話…?」


その大事な話が何だか嫌な予感がした…。
 
 
 
 
 


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