夢を見た。私と司が出会った時の夢。元々私は人見知りで小学生の時から友達が少なかった。だというのに中学校の入学式、クラス分けは見事に友達と離れ離れになった。完全に一人になってしまって、中学校は楽しむ事出来ないだろうななんてまだ入学式だというのに直ぐに諦めていた。そう、司と出会う前までは。
教室でボーっとしていた時に司が話しかけてくれたっけ。


『ねぇねぇ』

『へ…?』


まさか話しかけてくれる人がいるとは思ってなかったから間抜けな声が出てしまった。


『へ?じゃなくて。一緒に喋ろ!』

『い…いい、の?』

『勿論!私司って言うの。あなたは?』

『明…!』

『明ね!よろしく!』

『…うん!よろしくね!』


本当に司には感謝しているよ。司のおかげで友達もできて、学校も毎日が楽しくて。辛い時は一緒にいてくれて。同じ高校に二人で受かった時はお互いに泣いて。もっと、もっともっと一緒にいたかった。笑いたかった。…会いたい。会いたいよ、司…。










「………」


目を覚ますと私は自分に驚いた。目から涙がでていたから。もしかしてあんな夢を見たからかな。
涙を拭いて周りを見るがイヴちゃんはいない。もしかして中に入れたのだろうか。トレインさんも戻ってきてない。時間は結構経ってる気はするんだけど。
すると外から声が聞こえて窓越しから外を見る。…え、何かあったの?ホテルから恐らく中にいた人が急いで出てきているような。


「…ん…」

「あ、スヴェンさんどう?休めた?」

「ああ、一応な。…何だ?やけに騒がしいな…」

「うん、私も今どうしたのかと思って見ているんだけど…」

「誰か有名人でもこのホテルに来たのか?」

「多分違うと思う。だってなんだか逃げているように見え…」


私の声は何かの叫びと建物が壊された壮大な音によってかき消された。本当に何事かと私達は慌てて何かを見る。が、見て絶句した。壊された建物の中から出てきて通り過ぎて行ったのは、なんと『恐竜』だった。
…いや恐竜だった、じゃない!!何これ現実!?こういうのも普通の事なのこの世界!?


「…明」

「う、うん?」

「俺達は夢を見ているんだ」

「そっか、夢なんだ…。…って絶対現実だよスヴェンさん!?」


一瞬素直に受け入れそうになったが、二人して同じ夢を見るのもあんまりありえない事だよね!?あああ、全然冷静になれないんだけど!
本当にもう一度寝ようとするスヴェンさんを引き止めれば、「イヴもいないし…」と呟く。あ、その事言わないと…なんだけど、もしイヴちゃんがパーティーを見に行けたのなら今大変な事になっているんじゃ!?


「ようスヴェンと明!二人で暇そうにしてんじゃねぇか」

「トレインさん!」


不意に窓の外から声が聞こえ、見るとトレインさんがいた。無事だった事に安堵するのと同時に彼の今の姿にドキドキした。堅苦しかったのか別れる前にしていたネクタイは外されていて、きっちり止められているジャケットのボタンは全て外されていて中のカッターシャツが現れている。ただそれだけでもカッコ良さが増しているというか、大人っていうか、いやトレインさんは大人だけど…ってこんな状況でそんなの思っている場合じゃない!
イヴちゃんの事を言わないといけないのに脱線している自分に叱咤して首を横に振って冷静になりつつも言おうとした。が、その前にトレインさんがとんでもない事を告げた。


「一緒に恐竜狩りでもどうだ?」

「はぁ?」

「恐竜…狩り!?」


もう冷静になるのは無理だと思った。そんなの流石に無理では!?















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