夕方でもまだまだ外に出歩いている人は多く、凄いなぁと感心しながらアジトへ歩いていた。その途中。


「…あれって…トレインさん?」


距離が遠いし見えているのは背中だからはっきりとはわからないが、恐らくトレインさんだと思った私は歩くスピードを早める。段々と近づくにつれやっぱりトレインさんだと確信した。だけど隣に誰かいるのも見えた。フードを被っていてよくわからないけど男の人とは思えないくらいに小柄だから、多分女子。フード…と言ったら前のシズクさんを思い出したが、シズクさんはもう会えないと言っていた。だから違う。ここで知り合った人なのかな。


「…?」


まだ距離がある為わからないが、相手はトレインさんの腕に自らの腕を通して何処かへ行こうとしているみたいだけど、トレインさんはどう見ても困ってるように見える。うーん…間に入っていいかわからないけど、トレインさん困ってるし声をかけた方がいいよね。


「あっ…!」


走ろうとしたのも束の間、相手が無理矢理トレインさんを引っ張りその場から動いた。私も人がいる中でなんとか見失わない様に追えば狭い通路に来てしまった。人がいなくて少し暗い。トレインさんも見失ったし…どうしよう。ていうかあの人誰なのかな。


「ーーーお前誰なんだよ!?いい加減顔を見せやがれ!」

「!」


不意にトレインさんの声が聴こえて。声的に怒っているから早く行かないとと思って声がした方へと歩いていく。やがて見えたのは二人の影。一方はトレインさん。もう一方は。


「…!?」

「…え?」


相手のフードが後ろに落ちる。見えたのは茶髪。…司、だとわかった私はその事にも驚いたせいか体が動けなかったが、何よりも今の目の前の光景に頭が真っ白になった。


「…っ、いきなり何すんだ!」


トレインさんが慌てて司の肩を掴んで少し引き離す。司は何も言わず笑っているだけ。私は荷物を持っていた手に力が入らなくなってゴトンと落とす。当然音に気づいてこちらを向くトレインさんと目が合った。


「明っ…!?」


―――トレインさんと司が、キスをしていた。その場面が目に焼き付いて声すら出せずに動けなかった。















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