『《あーあ。最初の部屋でコンティニュー使い切っちゃったねー。そんな調子で大丈夫ー?さっきも言ったけど、ゲームオーバーになると自動的にこのゲームはプレイ不可になるんだよー》』


問題はここからだ。チャンスは後一回。…先程の様に上手くいかずに失敗するかもしれない。でもやっぱり慣れていない二人よりも私がやった方がいい気がした。自分の右手を胸元の前で握る。


「二人共、もう一回私が…」

「待って明」


私が全てを言う前にイヴちゃんが口を開く。イヴちゃんが私の震えている右手を軽く握って少しだけ微笑む。そして立ち上がってトレインさんを見る。


「どいてトレイン。私がやってみるから」

「姫っち…お前だって初心者だろ。大丈夫か!?だったら明に任せた方が…」

「わかんない。…でもクリードを捕まえる為にはここでゲームオーバーになるわけにはいかないでしょ。それに…明に任せてもし失敗したら、明が責任感じると思うから」

「イヴちゃん…」


そっか、だから止めたんだ。イヴちゃんの気遣いは嬉しいけど、それはイヴちゃんも同じはずなのに…。
イヴちゃんがゲーム機本体の前に座ると、髪が淡く光り始めた。そして髪の毛先がゲーム機本体に吸い込まれるように消える。


「変身能力でゲームと直接繋がれば私でもうまく操作できるかもしれない」

「ゲームと…つながる?」


どういう事なのだろうと考えながら目を閉じているイヴちゃんを見る。しばらくするとイヴちゃんがゲームの世界に入れたと言った。これで頭に思うだけで動かせるらしい。凄い…これがナノマシンの力。正しく使えばこうやって助けてくれるのに、悪く使えば…。


「トレイン、私がどう動けばいいか指示して。銃を使う闘いはわからないから。明も助けてくれると嬉しい」

「!…おし!」

「わかった!サポートするよ!」


天田君から教えてもらった事、三人で遊んだ時にどのようにしていたかを頭の中で思い出す。まずは正面に構える様にトレインさんが指示をする。そして直ぐに撃たないように、引きつけてから撃つようにと私が指示をする。怪物がこちらにやってきて、タイミングを見計らって。


「「今だ(よ)!!」」


ほぼ私とトレインさんが言うタイミングが一緒だった。二匹は見事に命中したが一匹外れてしまう。右に飛ぶように指示をすると怪物の攻撃は当たらなかった。


「イヴちゃんナイス回避!」

「いけるぜ姫っち!」


大丈夫、このままいけば絶対大丈夫…!
 
 
 
 
 


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