「明!やれ!」
「っ…!?」
トレインさんが残り一匹という事に気づいたからかそう言った…のは全然良かった。ただ、トレインさんが私の隣にいた事に集中していた私は今気づいてしまい、胸が大きく鳴って…ボタンを押すのをつい止めてしまった。その間に最後の怪物に硬い岩の棒で殴られて…やられてしまった。
「…ご、ごめんね!ホントにごめんね!」
まさか残り一匹でやられるとは。しかも私の勝手な感情で。言い訳なんて出来るわけがない。コントローラーを置いて二人に必死で謝る。ああもう、私の馬鹿…!
「大丈夫だよ。今のはトレインが悪いから」
「俺かよ!?…あー、悪かったな明。驚かせて」
「う、ううん…」
「…鈍感」
どうやらトレインさんは驚かせてしまった事だと思ったみたい。それはそれで助かったけど…。
「…さっきトレインが訊いてたけど、どうして言ってくれなかったの?」
「…自信が無かったから。いくらトレインさんとイヴちゃんより経験があったとしても、出来るかどうかわからなかったし…。でも、やっぱりトレインさんとイヴちゃんの力になりたかった」
二人が応援してくれたから。だから一歩踏み出す事が出来たのだと思う。それに―――皆の役に立ちたい。皆との旅が始まってから私が初めて思った事。いつも思っているけど、改めてその事を思い出したから。トレインさんとイヴちゃんの役に立ちたかったから。
「それなのに、結局私は…」
「明」
「!」
不甲斐ない結果に終わった事をまた悔やむ。俯いていたら誰かが頭を撫でてくれた。…ううん、誰かじゃない。この優しい手は…トレインさんだ。
「明はよくやったんだ。そこまで落ち込む事ねーよ」
「そうだよ。挑戦してくれた事に意味があると思う。ありがとう、明」
「トレインさん…イヴちゃん…」
顔をあげれば微笑みながら言ってくれる二人の優しさに胸が暖かくなる。涙がこみあげてくるが、必死で堪えて笑った。…ありがとうと心から思いながら。
[prev] [next]
[back]