私は操作をしながら元の世界の事を思い出していた。司と天田君、三人でこのゲームと似たようなものをしていた時の事を。当時私はゲームというものを初めてしたからか全く出来なかった。それを優しく教えてくれたのは天田君。天田君はゲーム好きだったからかこういうのは得意だった。


『こういうのは直ぐに撃ったら外れる可能性が高いから…。このタイミングで撃つ!』

『…!当たった!天田君ありがとう!』

『どういたしまして』


初めて当たった事に喜ぶ私を見て天田君も喜んでくれた。しかしその場にいた司は無言で私達を物凄い顔で見ていたのを今でも思い出せる。流石に刺さる様な視線を無視する事なんて出来ず、『つ、司?どうしたの?』と恐る恐る訊いたら顔を背けられて。


『…二人共仲いいわね。おじゃま虫な私はいなくなった方がいいのかしら』

『おじゃま虫って…。私は天田君に教えてもらっただけだよ?』

『それでも仲良くしているじゃない』


今にも泣きそうな司を見て困っていると天田君がコントローラーを持って司の後ろに座り、司の前に腕を回す。軽く抱きしめられている状態になったからか、司は顔を赤くさせる。


『二人プレイも出来るから司と明さんでやればいいよ。操作なら俺が教えるから』

『い、いいわよ!あと明が見ているのに何して…!』


ブツブツ言っている司を気にもせず天田君は優しく丁寧に教える。二人の仲睦まじい姿を見て微笑ましいとは思ったが、同時に私の方がおじゃま虫じゃない?なんて思ったっけ。懐かしい。
そして一度やってみたら余程楽しかったのか司はハマってしまい、何度も色々なゲームに付き合わされた事があった。だから今私は出来ているのかもしれない。


「けどよー、何で明は最初から言わなかったんだ?」


不意にトレインさんが私に質問してきて考えが止まった。言おうと思ったが言えなかった。気づけばあと一匹。絶対にミスれない。怪物がこちらに近づいてくるのを待つ。緊張が走り無意識に息を飲み込んだ。―――瞬間。
 
 
 
 
 


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