『勘違いしないでほしーっスね。私は"闘いやすい場所"に移動しただけっスよ』


サヤは銃を上に向けると一発放つ。その弾は壁に当たり、次は看板に当たり、そして最後はクリードの左足に命中した。サヤが放った跳弾にクリードは動けなかった。それを狙って続けてサヤは二発放つ。今度はかろうじてよけたものの、右腕に一発、右足に一発と掠めていた。


『き…きさま…!狙って…!?』

『あんた程の実力者が相手じゃ正面から銃を撃ち込んでも刀で止められる可能性がある。そんな奴の為のこの"リフレク・ショット"。伊達に女一人で掃除屋やってないっスよ』

『お…おのれぇ…!殺してやる…!』


足に命中したはずなのにクリードは一歩一歩確実にサヤへ近づいていく。撃たれた足からは血が流れ地面に落ちていくのにも関わらず。殺意が完全に痛みを超越しているのだ。
どう対処すべきか。そう考えた途端、自分の後方から声が聞こえた。


『なぁこの道暗くて危なくねー?』

(子供…?やばい!)


誰も来ないと思っていたサヤはこちらへ歩いて来る三人の子供に対して体を向けて叫ぶ。闘いに巻き込みかねないから来るなと。しかしその刹那。


『人の心配かい?…甘いね』


―――クリードの剣が、サヤの体を貫いた。










『花火か…。どーりで街がいつもより賑わってると思ったぜ』


10日間経った為、漸く外に出られたトレインはまず自分の部屋で休む事とついでにサヤに挨拶でもと考えアパートへ戻っていた。その道中、花火の音が聞こえてきた事に対し小さく呟く。
自分の部屋の扉の前に立つ。すると扉の隙間に手紙と薔薇が挟まれていた為不思議に思いながら内容を読んだ。


『"親愛なるトレインへ。今夜君をあの魔女の呪いから解放してみせるよ。楽しみにね"』


頭の中に浮かんだのは一人の男性ーーークリード。直ぐ様サヤの部屋へ向かう。何かで貫かれている扉は開かれたままであり、そのまま中に入っても誰もいなかった。空いている窓から虚しく風が流れてくる。既に事件が起きているのは明らかだった。


『クリード…。一体何考えてやがる…!?』


クリードが言う解放がどういう意味なのかが嫌な方に想像出来てしまう。トレインはクリードからの手紙を握り潰し、サヤの部屋から飛び出した。…嫌な予感をしながら。
 
 
 
 
 


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