シャルデンさんとキョーコさんが星の使徒を抜けた理由。クリードは自分の同士をチェスの駒程度にしか考えていたなかったみたいだ。この前の…古城の時。あの掃除屋の人を怪物に変えたナノマシン。"RUCIFER" の存在をシャルデンさんやキョーコさん、ましてや他の数人の同士達には言ってなかったらしい。同士なら言うのが当たり前なのに。それだけじゃない。クリードは同士だろうか何だろうが簡単に殺してしまう。そんなクリードにシャルデンさんはついていけなかったみたいだ。キョーコさんはただシャルデンさんが可哀想だからついていったみたい。


「すみません。星の使徒に司って子いました…よね?」

「司…?…いえ、知りませんネ。恐らくそれも…」

「言ってなかったって事…?」


司はそんなに隠すべき存在だったの?司は星の使徒にとってどういう存在なんだろう。何にしても、私は司と…ドクターって人に会わなければいけない。


「…"秘密結社[クロノス]を倒し世界を解放する"…。私にはクリードが謳う星の使徒の目的さえ偽りではないかと思えるのデス。クリードには…もっと別の…。途方も無い目的があるような…」

「別の…?」

「クロ様ー!」


そこで間を割り込むようにキョーコさんの声が聞こえてきた。クロ様、というのはトレインさんの事だよね。アイスを買ってきたと大声で手を振りながらこちらに走ってくるキョーコさんの顔を見て反応するのはトレインさん。


「キョウコさん、何処へ行ったと思えば…」

「へへー、クロ様に食べさせてあげよーと思ってぇー」

「いらねーよ!頼んだ覚えねーし」


トレインさんが手を左右に振って断るが、キョーコさんはそれを遠慮していると勘違いしたのか「エンリョしなくていいですよぉー」とニコニコと開けたアイスをトレインさんに食べさせようとする。が、再度いらないとトレインさんが怒った。それを見てキョーコさんは口元を手で隠してジッとトレインさんを見る。


「…何だよ」

「怒った顔もステキ…」


また惚れたというように頬を染めてうっとりとするキョーコさん。そんなキョーコさんとトレインさんを見るとまた胸がモヤモヤしだして…苦しい。この気持ちはなんなのだろう。


「…随分ポジティブ思考だよね」

「ああ。完全にトレインに命を救われたと思いこんでるしな」


よく恋愛漫画とかでカッコいい人に助けられて恋に落ちるという場面を見て羨ましい、そういう出会いをしてみたいとか思っていた。だけどそれを目の前で…しかもトレインさんに対してキョーコさんがそうなっているのを見てるのは胸が痛かった。原因がわからない。本当に、どうして…?
そう思っているとキョーコさんに指をさして怒る人がいて。


「ちょっと!あんたいい加減にしなさいよ!」


それはリンスさんだった。何故か燃えているオーラが見えているような気がする。…でも何でリンスさんまで怒っているのかな?


「トレインは掃除屋として犯人を捕まえただけ!別にあんたを助けたわけじゃないの!わかる!?」


リンスさんの言葉にキョーコさんは一旦考える。出した答えは「キョウコに嫉妬してるんですかぁ?」だった。それを聞いて益々ヒートアップするリンスさん。嫉妬。リンスさんが、キョーコさんに嫉妬している?それってつまり、トレインさんの事を…。
初めはトレインさんとリンスさんは美男美女って感じで素敵だなって思っていたのが嘘みたいで、今はそんな事考えたくなかった。


「…明。大丈夫?」

「え?な、何が…?」

「凄い顔してるよ」

「な、何でもないよ」


イヴちゃんに指摘される程私の顔は百面相しているのだと思う。何でもないわけがなかった。だけどその理由がわからない為言えるわけもなく。


「クロ様ー!」

「だからくっつくな!」


またキョーコさんがトレインさんに抱きついているのを見て、嫌な想像ばかりしてしまう。なんだか泣きそうにもなる。


「トレインさん…。モテモテで、良かったね」

「お、おーい明?何で泣きそうなんだよ?」

「トレイン。明を泣かせたら許さないから」

「理由もわからねぇってのに理不尽だろ!?」


思ってもない事を口にするが、直ぐに嘘だとバレたのか困っているトレインさん。隣でイヴちゃんが気をつかって言ってくれなければ多分私は泣いてしまっていただろう。気持ちを落ち着けなきゃ。
トレインさんがキョーコさんを引き離すのと同時にシャルデンさんが声をかけてきた。

 
 
 
 
 


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