「…さてと。本当に帰らせないとね。あなたを待っている人がいるから」

「待っている人?」

「ええ。今あなたの体の傍にいる人よ。前の時も目を覚ましたらいてくれたでしょ?」


前、というのはデュラムにやられた時だという。目覚めたら傍にいてくれた人…あ!


「トレインさん…!?」

「ええ。心配して傍にいるみたいよ」

「そう…ですか」


トレインさんが心配してくれている。そう考えると何だか胸が熱くなる。この気持ちは…何なのだろう。


「…因みにトレイン君だけじゃないわよ、あなたを心配しているのは」

「え?」

「他の仲間達も心配してるわ」


皆が…。…今回の事で皆にも迷惑かけちゃった。ちゃんとお礼と、それから謝罪をしないとね。


「ところで」

「え?…な、何ですか?」


笑いながら、いやニヤニヤしながら私に寄ってくるシズクさん。な、何…?怖いよ。


「トレイン君とはどうなのよ?」

「どう…って…」

「あなた達どう見てもバカップルじゃない」

「バっ…!?違いますよ!?」


バカップルって何!?司と天田君じゃあるまいし!大体私とトレインさんはそんな関係でもないし!な、何だか凄い恥ずかしい。


「へぇ?でも好きなんでしょ?」

「え、あ、はい。勿論好きですよ?」

「じゃあもっとアタックしないと!」

「ア、アタック?何でですか?」

「当たり前でしょ!惚れた人にはアタックあるのみ!」

「ほっ…惚れた!?違います!私はトレインさんに惚れてなんか…!」


キョトンとするシズクさん。まさかシズクさん…さっきの好きって"恋愛として"聞いたの?それをちゃんと否定するとシズクさんはため息をついて。


「本当に鈍感なのね…」


と言ってきた。鈍感?私が?ど、どういう所が鈍感なんだろう。しかも「おまけに相手も鈍いみたいだし」とか言ってて。何の話か全くわかんない。


「…まあいいわ。でも気づいた時は…早く伝えた方がいいわよ。後悔しないように」


ポンポンと肩を叩かれる。と同時に私の体が光だした。


「それじゃあね。色々あると思うけど私は見てるから」

「はい。シズクさん」

「ん?」

「ありがとうございます。その、色々と…」

「…馬鹿ね。司の事…頑張りなさい」

「はい!」


今度は優しい目をしながら頭を撫でてくれる。優しい手に頬が緩んだ。するとシズクさんがうふふと笑って。


「後、恋もね!」

「…え、ええっ!?」


寧ろこれを見たいって感じなんだが。シズクさんってそういうの好きなのかな。…でも私恋とかした事ないよ。そりゃあこういう出会いがあったらなーとかは思った事あるけど、実際に出会ったこと無かったから。なんて思ってたらもっともっと光が強くなっていく。


「ユヅキの事もお願いね」

「勿論です!」


そう答えた瞬間光でシズクさんの姿が見えなくなった―…。
 
 
 
 
 


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