「…っ…。ここ…は…?」


目を開けるとそこに広がるのは真っ白な世界。何も物も無くただ白い。…ここってあれだ、シズクさんとユヅキさんと出会った場所だ。じゃあ…。


「久しぶりね」

「!…シズク…さん」


シズクさんがいた。言葉通りホントに久々な気がして何とも言えない感情になる。


「急にここに来させてごめんなさいね」


そうだ…私、シズクさんに何かされて。だからここにいるのか。


「…あの…何でここに…」

「話をしに」


あっさりと返される。…シズクさんの態度がいつもと違う。敬語じゃなく、怒っているような、でもどこかで私を軽蔑しているような目。それが私の事を捉える。目をそらす事は出来ない。


「私は見ていたわ。あなたが自分にとって大切な何かを見つけられるかどうか。そして…司と再会するかどうかを」

「…司を知って…」

「知ってるも何も、彼女をあなたと同じ世界に行かせたのは私よ」

「!?」

「実際に会ってはいないけど、そうしたのは私」


真実なのだろう。シズクさんが嘘をつくはずがない。それに…どこかで私も思っていたのかもしれない。シズクさんがそうしたのだろうと。


「…あの子があなた達の世界で死ぬ前、あの子は強く願った。生きたい、と。その願いを私が叶えてあげたの。可哀想だから」

「…そ…ですよね…。でも…それは全部、私のせいで…」


当たり前だ。関係無いのに自分まで巻き込まれて。そりゃあ生きたいと願うに決まっている。
それに比べて私は?まだまだ生きていたいと思ったから違う世界で生きてもらわせた。理由もないのに。司には"私を殺す"という理由があるから生きたいと思ったんだと思う。私には理由がなかった。今は大切な何かを見つけるという理由あるけど、それは結局は人に言われたから。自分が決めたわけじゃない。


「私なんて、私なんて生きたいなんて思うんじゃなかった…!」


最初からそうだったんだ。あの場で諦めていればこんな事にならなかった。司と再会する事もなかった。
拳を作って言う私をシズクさんは目を細めた。


「…で?いつまでそうやって思うつもり?」

「え…?」

「全部私のせい?生きたいなんて思うんじゃなかった?そうやって逃げてどうするつもり?」

「逃げる…?」

「そう。明は自分を責めることで逃げてる。司からね」


司から逃げてる。逃げてるつもりなんてない。だって本当の事だから。


「何故私が司をあなたと同じ世界に行かせたのかわかる?」

「…それは…司が私を殺したいから…」

「ふざけないで。そんな理由なら行かせないわ」


わざわざそんな事するわけがない。そう切り捨てるシズクさん。ならどうして…?別に生かせたいのなら他の世界でも問題ないのに。
 
 
 
 
 


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