※白石くん脚好き設定注意




ねっとりとした肉厚なそれが足の裏をなぞったとき、思わずぶるりと身震いをした。くちゅり、と粘着質の音を立てながら今度は指と指の間にそれ、もとい白石くんの舌はねじ込められる。こんなことになって早数分、白石くんはゆっくり、時間をかけて私の足を愛撫したあと、包帯の巻かれたその手を太ももあたりに這わせ、そしてに妖艶に微笑んだ。


「ん、名字さん」


「っ、ひゃ……」


「名字さん、好きや」


「し、らいしく……」


どうしてこんなことに、なんて考える暇はなかった。こうしてお互いの欲求を満たすために放課後人気のない資料室でそういった行為に没頭するのはもう慣れっこだけれど、その間中思い出すのはまだ私が彼の秘密ともいえるそれを知らないときで。いつから私たちはこんな関係になってしまったのだろう。白石くんの顔が好きな私と、私の脚が好きな白石くん。学校一のイケメンで、何をやらせても人並み以上、それどころか完璧にこなす上にテニス部部長を任されていて王子様なんていわれている彼がまさか、極度の脚好きな変態だなんて知ったらいったいどれだけの女の子が失望するだろうか。いや、案外好んで自身の脚を差し出すかも。どちらにせよ私の好きな正端な顔が自身の足元で色っぽくさらなる刺激を求めるその姿は、悪くない。むしろ加虐心にも似た何かをそそられる。


ふと、私が行為に集中していないと分かったのか白石くんは口に含んでいた親指を離すと、考え事はあかんよ、と見せつけるように先程まで口内にあったそれをぺろりとひと舐めした。白石くんの唾液でべとべとになった指たちが外気にさらされてひやりとした。ごめんね、と眉を下げて謝れば、彼は満足したのか短く返事をして再び口を開けた。
けれど再開されたそれは先程よりも激しさを帯びていて、謝ったのに納得してないなと元よりあまり働かない頭の隅っこのほうでぼんやりと思った。


「や、そこ、くすぐったっ……」


「嫌やないやろ」


「っん、」


「……はぁ、名字さん、こっちも、」


早く、と促すように少し潤んだ瞳をこちらに向ける彼に、私は自然と笑みがこぼれる。
肯定を返す代わりにその綺麗な顔を足で覆った。少し力を込めて、「白石くん、どうしてほしい?」と私に出せる精一杯の色声で尋ねれば、彼は顔を赤くさせて「もっと、踏んでほしいねん」とまるで玩具を欲しがる子供のようにそれを口にした。


「いいよ、踏んであげる」


艶やか、という表現がよく合うんだなあと思った。私の返事に目をぎらつかせているその姿が愛しくてたまらない。好きだ、白石くんの顔が、すごく。この顔が、永遠に私のものになればいいのに。
さっきから内腿を撫でまわしてくる彼の大きな手にそっと自分の手を重ねた。


「ねえ白石くん」


「なんや…?」


「私以外の人に、踏まれちゃだめだよ」


「はは、おかしなこと言うんやなあ、名字さんは。そんなの当たり前やんけ。せやから名字さんも、」


「うん、わかってる。白石くんにしかしないよ。白石くんだけの、私だよ」


だから白石くんも、私だけのものなの。
口には出されなかったそれが、静かに私の中に落ちていく。「名字さん、こっち向いて」私とは合わさることのない唇が静かに開かれ、その中から欲情したそれを覗かせる。ゆっくりと、再びそれが私の脚を這っていくのを感じながら、私はただそのときの快感に胸を高鳴らせた。