「あのー…臨也さん…」
「なあに?王子様」
「あの…私のマントに隠れているピンクの彼は一体…」
「ん?…ああ、彼か。彼はね、サイケっていう子なんだけど、俺がちゃんと見えていない上に声も聞こえてないらしい」
「…何したんです?」
「なぁにもしてないよ?ホントホント」
「嘘臭いなぁ…臨也さんの嘘は見抜きにくいから嫌なんですよ」
「俺も、君の嘘は嫌いだなぁ…。まぁそんな事は置いといて、さっきも言ったように彼には聞こえていない。だから通訳を頼むよ」
「面倒ですけど引き受けましょう」
「聞き分けの良い子は俺好きだよ」
「貴方に好かれたって仕方ないですよ」
「だよねー」
「そう言う訳で、私は日々也と申します」
「…サイケって言うの」
「ビクビクしなくても良いですよ?私はどっかの誰かさんと違って、良心的な人間ですから」
「自分で良心的とか言っちゃうなんてー自分は良心的じゃないって言ってるようなもんだよねぇ…」
「皆さん貴方に比べれば良心的ですよ。あ、よろしくお願いしますサイケさん」
「ヨロシク日々也くん」
「とりあえず私のマントの中に入るのは止めて下さいサイケさん」
「あ!ごめん…津軽の羽織の中に入るのがクセになっちゃってて…つい…」
「津軽?…どこかで聞いた事があるような…」
「あのね!あのね!オレの大好きな人なの!格好良くて可愛いんだよー」
「…和服着てらっしゃいます?それと演歌が好きとか…」
「着てる!白と青の。歌は演歌しか知らないって……なんで日々也くんが知ってるの?」
「フフ、ソレは秘密ですよ」
「………」
「ああ!そんな不安そうな顔しないで下さい!私が一方的に知っているだけであって彼は私の事など知らないのですから!」
「うん…わかった」
「私はずっと一緒に居る馬の彼女なんですがジョセフィーヌさんと言ます」
「へぇー。白いお馬?」
「はい。とても睫毛が長くて美人なお顔をしていて、いつも私を目的の場所まで連れてってくれる素敵な方です」
「いいなー。でもね、俺は津軽が居ればいいんだ。手繋いで一緒に歩けるだけで幸せ」
「ああ、それも良いですね。…今度してみようかな」
「…あのさー、俺は放置されてるの?ぼっちなの?」
「貴方は基本的にぼっちでしょ?」
「酷いなあ…俺だって想い合ってる人くらい居るんだよ?」
「静雄さん、ですよね?」
「そうそう、シズちゃん。津軽よりも夢島よりも可愛いよ」
「…なんでそこで彼の名前を出すんです?」
「なんでだろうねえ」
「…真っ黒さんなんて言ったの?」
「ん?…ああ!すみません、うっかりしてました。通訳しますねー『静雄さんは津軽さんよりも可愛い』との事です」
「違うよ!津軽のほうが可愛いよ!!真っ黒さんに言って!!!」
「ハハッ!通訳されなくても聞こえてるよ?サイケ」
「ああ!サイケさんに顔を近づけないであげてください!ビクビクしながら再びマントに隠れてしまったじゃないですか!!」
「大変だねー君も。…どうして通訳の中に夢島の名前を出さなかったの?知られたくない?君の大好きな人じゃないか。
大きい声で愛を叫びなよ。俺は夢島が大好きです!愛してます!だけどずっと一緒に居るのが怖いんです!!ってさ」
「〜ッ!!うるさい!貴様に何が解るんだ!!一緒に居る時間が当たり前になってしまったら夢が何処かに行ってしまうかもしれない怖さが解るのか!?
寂しがり屋の夢が俺だけで満足しなくなるかもしれない事を怖がって何が悪いんだ!!」
「王子様、崩れちゃったね。解る訳ないだろ?俺は君じゃない。残念だったね。でも放置はダメだと思うよ?…寂しがり屋だと知っていながら放置なんて、実に良くない」
『いいぃぃぃぃぃざぁぁぁあぁぁぁぁやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』
「あはっ、シズちゃんが我慢出来ずに俺に逢いに来ちゃったみたい。残念だけどコレでお開き!じゃあ俺は逃げるよ」
「…すみません、先程は取り乱してしまって…忘れてください」
「…あのね、あの…」
「どうしたんですか?」
「…夢ちゃん待ってるよ、ずっと日々也くんの事待ってる」
「…」
「だから迎えに来てあげて」
「…では私も失礼します。ジョセフィーヌさんが待ってますから」
「日々也くん!!」
(夢さん…もう少しだけ時間を私に下さい)
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匿名様
リク企画ご参加有難う御座います!
リク内容、実はいつか書けたらなーって思っていたんですが
リクエスト貰えて凄く嬉しいです(*´ω`*)
こういう機会を頂けなかったら書いていなかったかもしれません。
明るい感じにならなかったです。申し訳ないです。
しかしながら私は満足しました。
あ、シズちゃんはあの会話の後こちらに走ってきたと思ってもらえれば幸いです(笑)
更新遅いですがこれからもサイトの方、宜しくお願い致します。
本当に有難う御座いました!