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気がついたら夢島祭りっぽくなっていた
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◆だって仕方ない




いざやとしずお







うっかり池袋でシズちゃんに見つかった。
本当に困ったちゃんだよねぇ…俺の事が大好きすぎて誰よりも先に俺を見つけちゃうなんて…。
くせぇくせぇと言いながらも顔を近づけてきたからちぅっと音をたてキスをした。
見る見るうちに顔が真っ赤になり、唇をゴシゴシと拭いだした。
傷つくなぁ。


「手前ぇ!」
「なぁに?シズちゃん」
「っ!!…せ、責任取って結婚しろ…ばかっ」

「はぁ!?」


急のプロポーズに驚きが隠せない。


「なになに?シズちゃんそこまで俺の事が好きなの?」

「ちがっ手前が俺にっきっ…キスする、から……あかちゃん出来た、だ、ろうが…」


予想外過ぎて開いた口が塞がらない。
なんだこの生き物は。
この世に存在していて良いのか?
誰がそんな知識を植え付けた。
でもまぁとりあえず、きゅっとシズちゃんの手を握り微笑む。



「幸せにするよ、シズちゃん」


嬉しそうに微笑んだ彼はとても綺麗だった。









シズちゃんならちゅうで子どもが出来ると思うよ
相手が臨也だしね。


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◆会話してみようか




しずおとつがるとゆめしま





「…」

「…」

「…」

「…なんか話さないの?」

「何についてだ?」

「そうだなー…想い人、についてとかは?恋バナ恋バナ」

「…サイケが相手」

「あのピンクのふわふわしてる奴か」

「それ。とても可愛くて…好き…」

「俺のお兄です」

「…お、だから一緒な色なのか」

「可愛いからって食べないで下さい」

「食べねぇよ(笑)」

「…じゃあ俺もお兄で」

「じゃあって」

「おにぃが大好きです」

「兄弟が仲良いって事は良い事だな」

「閉じ込めたいくらい大好き」

「…手前にはやらんぞ」

「俺もお兄をあんたにあげたつもりはないよ」

「?」

「けっ。静雄ちゃんは臨也ちゃんだよねー」

「…なんだその呼び方は…つか俺はあいつなんて好きじゃねぇ」

「素直じゃないですねー会わなきゃイライラが溜まるし、ナニも溜まるっとこれは臨也ちゃんか」

「…夢島…静雄が」

「ん?……ごめっ」

「いいや、手前が悪い訳じゃねぇ…あいつが生きてるのが悪いんだ、そうだろ?…ちょっと新宿行ってくる」

「いってらっしゃーい」




「で、手前は誰なんだよ」

「俺?…だからーおにぃだってー」

「嘘だろ」

「……さてさてお開きにしますかー」

「…」

「じゃあねー」





(ふたりともうらやましいな)









臨也とサイケは会話が出来ないからどうしたものか。
日々さんが来たら通訳してくれるかもか。
夢島さんは寂しがり屋だよってなるなぁ…いやいやみんな寂しがり屋だよね。



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◆さみしがりやさん




しずおとゆめしま









「ばんわー静雄ちゃ…いやいや静雄さん標識に手をかけるのはやめて下さい」

「…で、今日はなんの用だ」

「あー…静雄さんちに泊めて」

「…またか」

「またでーす…家が解らなくなりました。ごめんなさい」

「すぐに忘れちまうな手前」

「…ごめん」

「いや、仕方ねぇ手前は悪くないから謝るなよ」

「しずおー」

「ん?」

「……なんでもない」

「…迎えはまだ来ないの?」

「だって俺まだ覚えてるもん…姿も声も触れられた感触も…」

「ん。帰るか」

「…静雄」

「なんだ」

「慰めて」

「…」

「上か下、どっち?」

「…腕枕してやるから大人しく寝ろ」

「ん」









夢島さんは寂しがり屋でぺたぺたしたい子。
シズちゃんはお兄ちゃんっぷりを発揮。
腕枕してたはずが起きたら腕枕されてるし抱き枕にされてる。
そんな感じ。



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つっぱりとゆめしま




「つーちゃんみっけ」

「…夢島さん」

「つーちゃん遊ぼー」

「…つーちゃんって呼ぶなよ」

「なんでよ?ちびっこ達にはつっぱりさんって呼ばしてる癖に」

「それはあいつらが勝手に呼んでるだけで…」

「東高って名前なのにね。ツッパリなんてその格好が悪いんじゃね?」

「…」

「まぁどうでもいいんだけどさー」

「おう」

「つーちゃん俺と遊んで」

「…またか」

「しっぽりと」

「寂しいからってそう言うの止めろよ」

「…うぜぇ」

「はぁ…ゲーセン行くか」

「つーちゃん!!いい男!!」

「当たり前だ」

「抱いて!!」

「抱かん!!」









夢島さんは顔が広いはずって事でこんな感じ。
しかしただのびっちである。



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◆まさかの




みかどとしずお





「しっしし静雄さん!」

「ん?…あー、どうした?」

「ぼっ!お、俺!静雄さんの事がすっ」

「す?」

「すすすっすぅっ」

「落ち着け」

「好きです!!」

「えっ!?(頬を染め)……ありがとよ…竜ヶ崎…」

「…竜ヶ峰です」

「すまん」









失敗に終わったようです



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◆寂しがり屋だからね




いざやとゆめしま




「あー!わんばー臨也ちゃん」

「えっと…デリ」

「夢島です」

「変えたの?」

「初めから夢島です」

「…最初来た時デリバリー静雄って言ってたのは誰だった?」

「…覚えてないなぁ…夢島だもん俺」

「まぁ良いけどね。そんな夢島くんが俺に何の用かな?」

「とーめーてー」

「…」

「いーいーよー」

「あははっ君やっぱり面白いね。家解らないんでしょ?いいよ、おいで」

「臨也ちゃん優しいから俺すきかなー」

「そう…」

「静雄ちゃんの代わり、しようか?」

「いらないよ」

「一緒に寝てね」

「一人で寝なよ」

「けちー」









臨也にもフレンドリーな夢島
やっぱりただのびっちにしかならないなぁ…


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◆わすれてしまったの





いざやとゆめしま






ぽろぽろと溢れ出すのは透明な液体



「…いざやちゃんいざやちゃん…おれなみだがとまらない」
「そうだね…君は何気に泣き虫だから」


ホラ、とポケットの中から出てきたハンカチで涙を染み込ませる。
どれだけ染み込ませても止まる気配はない。
前にもこんな事があったと頭の片隅で思うが、この涙を止める事が最優先だ。


「…おれ…大切ななにかを忘れた気がするんだ…」


ぽろぽろと止まりそうにない。


「…辛いならもう思い出さなければ良いんじゃない?俺が…囲ってあげるよ…君をさ」


昨日までなら嬉しいと感じられたかもしれないその言葉は、今は意味がない。
臨也もその事を解って言っているのだ。
愛する者と良く似た顔が泣いているのが耐えれないだけかもしれない。
そうだ、臨也はなんだかんだ言いながらも自分に優しい。
彼の色は真っ黒だがほんの少しだけ柔らかく優しい色をしている。


「いざやちゃん…おしえてよ…ココくるしいの」


臨也の心臓部分を指差してから寄りかかる。
その音に少しだけ涙の量が減った気がした。


「あのさ…俺が教えても無意味なんだ。自分で見つけなきゃいけない…でないと君はずぅっと俺を頼るだろ?それじゃあ何にも解決にはならないからさ…ごめんね」


頭をぽふぽふと撫でられ、また涙の量が増えた。


「いざやちゃん…いざやちゃん…」
「ほら…もう寝ようか…一緒に寝てあげるから泣くなよ…ね?」
「いざやちゃんいざやちゃんいざやちゃん…ありがと」


寝室へと向かうと
臨也に抱きつき意識を飛ばした。





「…俺じゃ君を助ける事なんて出来ないんだよ…俺だけじゃない…あいつ以外、誰一人無理だろうね…」



くるしいの
おれをひとりにしないで










臨也宅で数日お泊まりな夢島さん。
臨也は夢島には少しだけ甘かったらいいのに。



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◆ほしいな!





いざやとこしず






「ホラ、ちゃんと言わないと」

「ん…んー」

「お口有るんだからちゃんと言えるでしょ?…欲しいって言うだけだよ」

「で、でも…いざやぁ」

「そんな目で見てもダァメ。コレはあげないよ」

「ん、ん、い、いざやの…」

「うん」

「いざやの……うー」

「言っちゃえば楽になるのに」

「……ふぅ…いざやの…………いざやのぷりんちょうだい!!」

「よく言えました。ご褒美のぷりんだよ」

「…ありがと」








臨也のプリンを貰うのも一苦労です。
プリンを欲しがるのを解ってるから食べずに待機してる臨也さん。



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指揮官 臨也

人体兵器 静雄






平和だ。

静雄は煙草をくわえベッドに座りながら思った。
今この時ほど平和な事はない。
世界が眠りにつく時間帯は争い事は起きない。
今、争っている相手は変に律儀だ。
臨也を真っ直ぐ見つめ、ニッコリと笑みを浮かべ告げたのだ。

「睡眠は大事なので…そうですね…22時から9時まで争い事は止めましょう。いつ襲いかかってくるのかとか考えていたら寝れなくなっちゃいますから」


おかしな奴だった。
臨也を目の前にして普通で居られるなんて。


今回の争い事は相手からの宣戦布告だった。
相手方の友達か仲間か、解らないがそいつを引き入れたせいらしい。
そいつが自らこちらに入ってきたのに取り返すとはおかしな話だ。
まぁ臨也の手口が悪かったのだろう。あいつは性格が歪んでるからな。



「性格が歪んでて悪かったね。俺はただどこにも行けないっていうからつれてきただけなのに」


振り返れば背後に臨也が立っており驚く。
そのまま後ろから抱き締められたが静雄は抵抗しなかった。


「シズちゃん声に出てたよ」
「…悪かった」
「怒ってないからそんな顔しないでよ、ね?」


どんな顔をしていたのだろうか。それとも隙をつく為の言葉だったのだろうか、臨也は首筋に唇を寄せ、カプリと軽く噛みついた。


「んっ臨也ぁ…くすぐったい」
「んー?」


少しチクリとした。
痕を残したのだろう、明日から数日首元が隠れる服装でないと…なんて考えていたら煙草を取り上げられ、視界が揺らいだ。


「シズちゃんは俺のだから、この痕みんなに見せびらかしてね」


そんな主張なんてしなくても誰も奪おうなんてする訳がないのに、と静雄はクスクス笑った。







平和な夜


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◆ふうふなんだから






いざやとしずお






「シズちゃんのばか!!良い夫婦の日が終わっちゃったじゃないか!!」

「あ?なんだよその日は」

「もう…いいふーさんだ…誰だよふーさんって…。…夫婦仲良く過ごしたいなぁって思ってたのに…」

「…あのなぁ…んな日じゃなくても仲良くすりゃ良いじゃねぇか……ふ、…夫婦なんだ、から、よ…」

「〜っ!?シズちゃん!!愛してる!」

「…あぁ…」












シズデレになったか?
気がついたら終わってたからこんな事になった。


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◆来神時代




ドタチンとしずおと




ずずずずずずずずぞぞぉぉぉ


「静雄、うるさい」


イチゴオレを片手にストローで吸い上げているのだが、どうも音がおかしい。
もう入ってないんじゃないか?と言えば、ん!っと突き渡され中にはたっぷり入っていると解るくらい重かった。


「…飲めねぇ」

「開け口を閉めすぎで塞いでるとか」

「閉めてない」

「…んー」


再びストローをくわえて吸い上げる。透明な筒の中をピンクの液体がマダラに…まだら?
よくよく見れば蛇腹部分からピンクの液体が漏れている。
穴が開いているのだろう。
誰が渡したかなんて少し考えたら簡単だ。


「…それ臨也から貰ったのか」
「…良く解ったな」
「漏れてるぞ」
「ん?」
「そこ、穴開いてる」


ストローの蛇腹溜まっているピンクの水滴を指差せばそこに目をやる。
見た瞬間バシュっと音をたててピンクの液体が散らばった。
甘い匂いが漂う。


「…すまねぇ門田…俺用事思い出したから行ってくるわ」
「…お、おお」


甘い匂いだけを残し、青筋をたてた奴はそのまま屋上から走り去った。
クスクスと笑い声が聞こえてきた。
振り返り見上げればそこには臨也が居た。
静雄が探している相手だろう。


「あはは!バカだと思わない?俺はずーっとここにいて見てたのに気付かないなんて」
「…」
「ドタチンもストローの事を言わなければ、必死に吸ってるシズちゃんがもっと見れたのに…」
「…悪趣味だな」
「アリガトー。俺はただシズちゃんの可愛い姿が見たかっただけだよ」


「ドタチンにだってシズちゃんを渡すつもりはないから」




ならば嫌がらせをするのは止めればいいのにと思ったが口にするのは止めた。








ストローに穴が開いていると大変だねって話である



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◆これもありかもと思った





デリ雄とドリ雄


デリバリー静雄と
ドリーマー静雄です。







「ドリちゃんって呼びにくいから夢ちゃんって呼びますよ」

「えっ…じゃあデリちゃんって呼んで良いの?」

「はい、お好きなように」

「あのね…デリちゃんは王子様居ると思う?」

「急にですね…しかし愚問ですよ夢ちゃん。俺が王子なんで」

「…デリちゃんがキラキラしてるッ…見れない!」

「ホラ…お手をどうぞハニィ」

「ァ…デリちゃ、……」








おかしな事になったな…
早く日々さん達出てくればいいよ


素晴さん、らしさん、日々さんでみんなの相手出来ますね。


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◆すきなの




いざやとゆめしま






息苦しくて目が覚めた。
ソファーで寝ていたはずの彼が覆い被さっていた。



「臨也ちゃん…すき」

「…」


ああ、またか。


「臨也ちゃんちの子になる…」

「…君は誰でも良いの?」

「…ちがうもん」

「俺にはそうにしか見えないけど」

「…だって臨也ちゃん見てたら胸がきゅーって締め付けられるんだもん。すきって事でしょ?」

「…」

「おにぃの笑顔を思い出してもきゅーってなるからおにぃもすきなんだよ」

「…」

「…なんでなにもいってくれないの?おれのことキライ?…やだキライにならないで…すきになって!忘れないようにするから!…もうっ…やだ…」

「キライじゃないよ」

「…好きでもないくせに」

「……」


少し痛いところを突かれたがまぁいい。
ゆっくりゆっくり眠りを誘うように頭を撫でてやればウトウトとし始める。


「いざやちゃん…ごめんね……おれ…ねむたい」

「うん…おやすみ」


抱きつき眠り始める。
起きたら右半分が痺れてるに違いない。



「胸が締め付けられるのは…」


あいつに似てるからだよ


口に出さずに呟く。


俺が君に甘いのもあいつに似てるからさ。


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いざやとゆめしま








目が覚めたら隣には誰も居なかった。


頭の中でグルグルと何かが浮かんでは消えていく。
その形すら思い出せない、それが何かすら解らない。
消えていくと言う事は覚えていなくても良い事なのだろう。
なのに涙が出そうになる。


「…ふっ……ぅー」


枕に頭を埋める。
今、一番落ち着く匂いを肺の中いっぱいに詰め込んだ。
詰め込んだのに涙が溢れてしまった。


「…いざやちゃ……」

「また泣くの?まるで俺が泣かせてるみたいじゃない」

「…っ」


ドア付近に臨也が立っていた。
手にはピンクと白のボーダー柄カップを持っており、温度を確かめるために口をつける。


「温くなってるから大丈夫だと思うよ」
「…ほっとみるく」
「ちゃんと蜂蜜入りだよ」


両手で受け取り、コクリと一口飲んだ。
臨也の作るホットミルクは自分が作るよりも美味しい。
それは涙が止まるくらいだ。


「君は本当に泣き虫だね。そのうち干からびるんじゃない?」
「んっ」
「干からびないようにちゃんと水分を取る」
「うん」
「…泣き止んだら明日良いところに連れてってあげるよ」


その言葉を聞いてゴシゴシと目を擦る。


「明日の夜に静雄ちゃんが来るの?」
「違うよ」
「別に良いけど…どこに連れてってくれるの?」
「それは着いてからのお楽しみだよ、ね?」



飲み終わったカップを手渡す。
ポフポフと頭を撫でて臨也は部屋を出ようとする。


「いざやちゃん一緒にねてくれないの?」
「俺はこれから仕事」


じゃあね。と手を振って部屋を出ていき、バタンと音をたて閉まった。


「いざやちゃ…」




俺、干からびちゃうよ




ぐるぐるしていたものは気がつけば無くなっていた。



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11月分はこれで終わり




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