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ふたり暮らしな朝昼夜1

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(サイケと津軽の場合)

朝 パン派な僕と、御飯派な君



「サイケ、朝ご飯出来たぞ」
「うん!」


朝ご飯はいつも津軽が作ってくれる(朝だけでなく料理全般は津軽が担当だ)
顔を洗い終わったサイケはいつも座るイスへと腰をかけた。
テーブルの下で見えない足は無意識にぶんぶんと振られている。
コトリとサイケの前に置かれたお皿には程よく狐色の食パンの上にベーコンと目玉焼きが乗っていた。
飲み物はとても甘い津軽特製のホットミルク。
早く食べたいけれど津軽が座るまでぐっと我慢する。
津軽の朝ご飯は真っ白ご飯と豆腐とワカメのお味噌汁に温泉玉子。


「つがるのもおいしそう」
「ん?そうか?いつもと変わらないけど」


津軽がイスに座ったので両手を合わせて元気よく「頂きます!」と言った。
黙々と食べる。
しかしサイケはチラチラと津軽の朝ご飯に目がいってしまう。


津軽のも美味しそうだ。
食べてみたい。
特にあの温泉玉子が美味しそうだ。
じゅるり。
ああ!でも自分のパンの上にも玉子が乗ってる!


「…サイケ…声に出てるぞ」
「ぬ?」
「晩御飯に温泉玉子つけてやるから心配するな」


「つがるだいすき!!」








昼 君の腕でシエスタ



洗濯物も干したし掃除も終わったお昼ご飯も食べたし、後は三時のおやつの時間を待つのみだ。
ソファーに座り適当にチャンネルを回す。
いいのが無いなぁ…なんて思いながら昼ドラなんてものを見る事にした。


「ドロドロしてる…あんな酷い男の何が良いんだ?」


フと今まで自分が付き合ってきた奴の事を思い出して項垂れる。
自分だって似たような奴らに尽くして居たじゃないかと。
いやでも今はとても幸せだから関係ない!と顔を上げなおす。


「つがるーつがるーおれねむたいぃ」


別の部屋で仕事をしていたはずのサイケが目を擦りながらこちらにやってきた。
抱きついてきたので抱きしめそのままソファーに寝転がる。
うずうずと眠りやすい体勢が見つかったようでそのまま眠ってしまった。
テレビのボリュームを下げて津軽も軽い睡眠を取る事にした。


「お昼寝もたまには必要だよな…おやすみサイケ」


俺はサイケに出会えてとても幸せだよ。
そんな気持ちが伝われば良いなと抱きしめていた腕に少しだけ力を入れた。







夜 お風呂の順番



晩御飯も食べ終わり後はお風呂だけになった。


「津軽お風呂入る?」
「俺はまだ洗物が終わってないから先に入っていいぞ」


津軽の手にはお皿とコップがあり、それをキッチンへと持っていく途中だ。
しかしサイケは不満だと言わんばかりにぷぅ。と頬を膨らましてずんずんと津軽に近付き、手に持っていたものを奪う。


「オレも手伝うから一緒にはいろ!」
「…ありがとう」


そのままキッチンへと足を進めたサイケは、ほんのりと頬を染めた津軽に気付かなかった。



あのね、サイケ、俺も本当は
一時も離れたくないの。





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(臨也と子静の場合)


朝 本日のファーストキス




すぅすぅと人の上に乗って眠るその顔を眺める。
天使が居るとしたら多分こんな顔をしているに違いない。
可愛いなぁ。とほっぺたをぷにぷにと突けば、「んー」と眉を寄せた。
可愛いなーどうしようかなーあームラムラしてきたーだって男の子だもん。
なんて最低な事を思う。
このままじゃペドってレッテルを闇医者に張られてしまう。
まだ大丈夫。俺は普通だよね。
ああ、でもシズちゃん専用でならペドになってもいいかもーなんて軽く考える。
携帯が震える。
もう起きなければいけない時間だ。
この可愛い寝顔をもっと見ていたいけど起こさなければいけない。


「シーズーちゃん」
「んー」
「起きよー」
「…やぁ」


きゅうっと胸元へきつく抱きつく。
出来ればこのまま一緒に眠っておきたいけど仕事がある。
頭を撫でてから、脇下に手を入れてシズちゃんの身体を上へと動かす。


「シズちゃーんおはよー」
「ぅ、ん、んー」
「お目目開けて俺の事見てよ」
「…いざ」
「起きないと食べちゃうよ」


かぷり。と鼻にやんわりと噛み付けばビックリしたのか目を見開いた。
ぺちぺちと顔を叩かれる。
ああ、顔は止めて一応商売道具なのに。


「おはよーシズちゃん」
「…おはよぅ」
「朝のご挨拶の方法、教えたでしょ?」


んー。と唇を寄せれば恥ずかしそうにしながらもちぅとキスをする。
可愛いなぁ。


「おはよ…いざやぁ…」
「はい、おはよー」



本日も素敵な一日の始まりだ。






昼 お揃いのお弁当




今日は仕事があるからと静雄は新羅宅に預けられた。
新羅も急用が入ってしまったようで家の中にはセルティと静雄だけだ。
お昼ご飯どうしようかな。とセルティが呟いたら静雄は嬉しそうに自分より少し大きなリュックの中から可愛いお弁当袋が出てきた。


『今日はお弁当なのか?』
「うん!いざやがつくってくれた!」
『そうかー良かったね静雄』
「だからごはんだいじょうぶ!」


頭を撫でると顔を真っ赤にして静雄は喜んだ。
そうだ、お茶持ってくるね。とキッチンへセルティは向かった。
その間に静雄はお弁当あける。
たこさんウインナーにたまご焼きにミートボール。
ご飯の上には桜でんぶが乗っていた。


『美味しそうだね』
「おいしいよーだっていざやがつくったもん」
『フフフ、静雄は臨也が大好きだな』
「うん!…あ…ヒミツだからな?」
『解った、私と静雄の秘密だ』













「たこウインナーにたまご焼きにミートボール」
「……」
「そこまではいいと思うわ、小さい子が喜びそうなものだものね」
「…俺もそう思って作ったから、ね」
「でもなんでアナタのご飯の上にも桜でんぶが?…あとこの形」
「……これは…予想外だよ…」


ハァ…と溜め息をつきソファーの上で項垂れた。
自分の弁当には桜でんぶは入れていなかったのにと。


「…やられた…俺の斜め上を行きすぎだよシズちゃん」


少しの間、臨也は顔を上げれなかった。








「これもヒミツなんだけど」
『うん』
「いざやのおべんとうにもピンクのあまいのかけてあげたんだ」
『うんうん』
「ハートまーくにしてあげた!」
『ッ!?…きっと凄く喜んでると思うよ』







夜 ただいまが言えるということ




新羅宅から手を繋いで帰る。
その間は静雄が一生懸命に今日はこんな事があったとかこんな話をしたとか
新羅がセルティにぐるぐる巻きにされていたとか色々と話をしてくれる。
ぶんぶんと振られる繋いだ手につい頬が緩む。
家に着き、鍵を開ければ繋いでいた手を離され静雄が先に中に入る。


「いざやおかえり!」
「ただいまシズちゃん」


ただいまのキスとおかえりのキスをする。







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