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いざやとしずお









静雄は普通の人なら当たり前の行為である涙を流すということが出来なかった。
涙を流そうにも泣くと言うことが解らなかった。
悲しいも嬉しいも痛いも寂しいも苦しいも解るのにどれも涙は出なかった。


「化け物だからね」


誰かがそう言った。
誰かなんて解りきってる。
俺にそんな事を言えるのはあいつしかいないのだから

化け物は涙が出ないらしい。
だから出せるようになりたいと思った。
化け物扱いはごめんだと。
あいつは良く泣くのだ。
ボロボロと涙を零し笑う。
わらうワラウ。
俺にしがみつき化け物!!と罵りながらも涙を流す。


「こんなにもこんなにも君を!!君だけを!!想っているのに気付けないなんて可哀想に!!」



アハハハハ
声高らかに俺を笑う。


嗚呼、涙が出そうだ。

誰か涙の出し方を教えてくれ。










泣き虫いざやと泣けないしずお




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◆なんていうか





いざやとしずお


僕たち結婚しました!






「結婚したって事はご飯も寝るのも暮らすのも苗字も同じだよね!シズちゃん!」


「はぁ?何言ってんだ手前。」


「え?」


「今流行ってんだろ、夫婦別姓だ。俺は平和島のままだからな」


「そんな…折原静雄…」


「ならねぇぞ」


「じゃあ婿入りするから平和島臨也にな…」


「させねぇ!!」


「…うぅっ…酷いよシズちゃん」


「普通だろ」


「じゃっじゃあ一緒に暮らそう!!」


「ありえねぇだろ」


「…」


「手前は新宿。俺は池袋。それでいいだろ」


「…結婚の意味がない」


「…そのかわり晩ご飯は出来るだけ一緒に食べてやる」


「…」


「週2くらい泊まってやる」


「シズちゃん…」


「それでいいだろ?」


「…不満は有るけどさ、今はそれで我慢してあげるよ」


「ふん」


「愛してるよシズちゃん」


「…俺もだ臨也」



結婚しましたがいつもと変わらずです。








イチャイチャしてるかしら?
なんで早く結婚しないのかと思ってたんですけど
実はもうすでに結婚してて別姓で別居してるんじゃないかという考えにたどり着きました。

なんかごめん。



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◆あまいあまい




いざやとしずお
デートしたらいいじゃない








「シズちゃんシズちゃん」

「ぅあ?」

「ほっぺたにクリームついてる。て言うかさー口周りチョコまみれ…。いやいや違う、おかしいでしょ?その食べてる量。それ俺と半分するって言ったじゃん」

「……」

「なのにシズちゃんってば半分以上食べてるよね?ワッフル」

「だってよ」

「だってよ、じゃないでしょ?」

「なら手前も一緒に食い始めたらよかっただろ…」

「シズちゃんが嫌がるかなと思って食べなかったんだけど」

「最初から半分に切っとくとかして…俺悪くないだろ…手前の日頃の行いが悪いから俺がいっぱい食べちまったんだろ!!」

「何そのキレ方」

「なんかニコニコしながらこっち見てるし恥ずかしくてうっかり食っちまったんだよ!!俺は悪くねぇ!!」


「…ふーん…」

「っ…!!」

「ちょっ!!シズちゃん全部食べようとしないでよ!!」

「しるか!!」

「…まぁいいんだけどね、シズちゃんの為にここに来たんだし。一口残しといて」

「ふん、覚えていたらな」









ワッフルって食べにくいですよね。
必死になっちゃうよね。



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◆うきうき




いざやとしんらの惚気話



「それでさーシズちゃんに指輪、あ、あれだよ?結婚指輪。それを渡そうとしたらいらないって!なんで?って聞いたらなんて言ったと思う「俺すぐ人とか殴っちまうし、手前まで殴っちまって怪我させたら悪いから受け取れねぇ」って言うんだよ!!何この生き物存在してて良いの!?俺は嬉しくなってそのまま頂きますしようとしたら殴られちゃった恥ずかしがり屋さんすぎて困っちゃうよねそこが可愛いんだけど!!」

「ふーん。まぁ僕のセルティに比べたら、ああ比べるなんてセルティに失礼だよねごめんねセルティ。そんなセルティに僕も指輪をあげたら照れ臭そうにしてくれたんだよ親指に!!セルティ君は素敵だよ!!慌てん坊さんだよねだけどしてくれるだけ増しだよね君のところの静雄はさ、君の良いように解釈してるだけであって正直いらないって言ってるんだよね。それが解らないなんて…臨也可愛そうに…。」






互いに言い合うだけ


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◆きすみー




いざやとしんらとしずお





「急にキスしたくなったんだけど」

「…それを私に言ってどうしたいの?」

「新羅となんてする気はないから安心してよ気持ち悪い」

「酷いなぁ…。君なら選びたい放題いるだろう?信者のみなさんとか」

「あー、あの子達には手を出さないって決めてるんだよねー後々面倒になるのが目に見えてるし」

「確かにそれはあるね」

「だからさぁ」




「おい新羅ーバンソーコくれ血が出、た…ノミ虫」



「静雄良いところに来たね」

「あ、シズちゃん…」

「静雄ー臨也の相手宜しくねー」

「はぁ?」

「ちょっと僕仕事があるから。じゃあね」

「いってらっしゃい」

「ちょっまて新羅!!」


「はっ!…こっちくんな!!口つきだしてこっちくんなぁぁぁ!!!!」




ハァハァハァハァハァ

ニギャァァァァァァ


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◆ばさららら




いざやとしずおで
せんごくばさら





「シズちゃんは元親」

「なんでだ?」

「騙されやすくて人想い、攻撃が荒い」

「…まぁいいけど騙されやすくは無い」

「合ってると思うけどなぁ攻撃が荒いところとか」

「…じゃあ手前は光秀だろ」

「…」

「良いように言って人を騙して吸い尽くすだけ吸い尽くして要らなくなったら捨てる」

「酷いなぁ」

「あってるだろ…」

「……」

「……」

「俺は佐助」

「俺は小太郎」




「やべぇ!!死ぬ死ぬ死ぬ!!っ…しんだ…」

「ちょっ何やってんのシズちゃん!!助けに行くから少し待ってて」









臨也はなんとなく佐助。
シズちゃんは攻撃は最大の防御ぽいから小太郎で。
小太郎の防御力の紙っぷりはいつも泣かされます。
気がついたら赤ゲージw



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◆プロポーズの言葉





『そう言えば静雄』

「なんだ?」

『その…プロポーズの言葉はなんだったんだ?』

「ん?…ノミ虫が『シズちゃんは俺の嫁!!』とか言うからよ」

『…熱烈だな』

「腹が立って『手前が俺の嫁だろうが!!』つったらあいつが真っ赤になりやがってよ…」

『お前も熱烈だな』

「次の日になったら婚姻届とドレスと指輪持ってきてよ」

『…』

「追い返すのが面倒で全部受け取った」

『…凄いな』

「まぁ結婚だっつっても別姓に別居、関係は今まで通りだし楽だ。…デートはなかなか出来ないのがあいつには不服みたいだが」

『だから新羅の家で落ち合うのか』

「すまねぇ…セルティ」

『気にするな、私はお前の味方だからな』

「ありがとよ」











困ったことに私はこの二人が大好きだ。
妖精チームは癒し。
この後臨也がやってきて夢の国にデートしにいこう!!って言うに違いない。


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◆知らない君




いざやとしずおとしんら




闇医者な彼に呼ばれ家を訪ねたらそこには大嫌いな彼がいた。
いつもなら俺を見た瞬間に青筋を立て手近にある物を振り回して来るのだが今日は違った。
俺を見るなり両手を広げて抱きついてきたのだ。
それからずっと離れずに居て困り果てた俺は人間にしか向けない感情をワザと彼にぶつけてみた。


「好きだよシズちゃん」

「俺もだ、臨也」


「…新羅!!しーんーらぁー!!シズちゃんの様子がおかしいよ!!」


予想外だった。
予想外すぎてつい叫んでしまった。
呼ばれた新羅は慌てる事なくこちらに顔を出し苦笑いを零す。


「…なんなのこれ」

「ん〜…なんだろね。静雄が臨也を呼べって言うから呼んだんだけど…まぁあこの際だから仲良くなったら?」

「嫌だよ」

「ほら、抱き締められているだろ?骨も折れずに。おかしいと思わない?臨也」


確かに言われてみればそうだ。自分の身体は嫌な音をたてることはなかった。


「これは憶測なんだけど、静雄は君の言う人間になったんじゃないかな。君が愛する」


俺が愛する人間。
化け物じゃないシズちゃんなんてただの人間じゃないか。ただの。
しかしなんだこの微妙な感情は。


「ああ、そうか」


そうかそうか。簡単じゃないか。


「いつものシズちゃんじゃない君なんて大っ嫌いだよ」









やっぱり元の君が好き。


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10月分終わり



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