ショタイザシズ | ナノ









「シズちゃんおねがいがあるんだけど!!」
「ああ?」
「いっしょにねよ!!」



ただいまーと臨也の家のドアを開ければおかえりの言葉よりも先にそんな事を言われた。
急に一緒に寝ようなんて何かあったのか気になるのだが
その前に大体毎日一緒寝ているのだ。
不本意だがそれは紛れも無い事実。
大体が寝ている間に臨也が人の布団に潜り込むことが多いのだが
たまに、たまーに自分がトイレの後寝ぼけて臨也のベッドへと間違って入ってしまうのだ。
だから今更だと思うのだが
そう言い出すにはそれなりの理由があるんだろうな。きっとそうだそうに違いない。
寂しくなったとか学校で怖い映画を見たとかきっとそんな事可愛らしい理由だろうと聞いてみる事にした。


「どうしてだ?」
「えーだってーだってねー」
「………」
「クラスの子がね!おやがいっしょにねてるらしいんだけど
いつもいっしょにねてたらあかちゃんが出来たんだって!!オレもシズちゃんとの子がほしい!!」
「…はぁっ!?」


俺の予想の斜め上をぶっ飛んで言ったその理由に開いた口が塞がらなくなった。
シズちゃんまぬけがおーとか言われてもそんな事どうだっていい。
なんだその間違った知識は!…いやいや真実を教えるのはまだ早いから仕方ない。
教えるにしてもなんか違うことを教えないと
そうそうキャベツから生まれてくるとか公園のスベリ台下から生えてくるとか。


「あのな臨也、一緒に寝ても子供は出来ないぞ?」
「えー!ヤダヤダ!シズちゃんのあかちゃん作ってオレとシズちゃんの間にきせーじじつってやつを作るんだから!!」
「…」
「やーだー!ぜったいつくるの!オレがんばるから!!」
「お前何する気だ…」
「合体!!」
「!?」


その言葉に俺の顔に一気に熱が集まったのが解った。
可愛い顔をして合体!とか言ったあいつはニヤニヤしながらこっちを見ている。
奴はそれなりに知っているに違いないそうだきっとそうなんだ。
俺の反応を見て楽しんでるに違いない。
挙句の果てには既成事実って言葉まで知ってやがる。
知ってるだけで意味は解ってないと思う…そう思いたい。
もうやだこんな小学生…。
自分がこれくらいの時は本気でキャベツ畑から貰ってくると…本気で思っていたんだがな。
未だにニヤニヤしながらこちらを見ている奴の顔を片手で押さえてやった。
痛いだとか酷いだとかわーぎゃー五月蝿いが気にせず押さえていれば腕をブンブンと振り出した。
が、短いから届くわけなくて笑ってしまった。


「はは!お前可愛いよなー喋らなければさ」
「カワイイって言わないでよ!オレシズちゃんのだんなさんなんだからね!」


ぷりぷり怒ってそっぽ向くところとか可愛いとしか言えないのだが彼にはソレがわからないらしい。
冷蔵庫からしずおと書かれた牛乳を取り出しそのまま口にする。
格好良いんだけどなー。と呟きながら鏡を見て格好つけている臨也を見て噴きそうになった。
牛乳を冷蔵庫に戻し臨也の後ろに立って頭を撫でる。


「はいはい手前はカッコイイよ」
「…思ってないくせに」
「ホントだって。手前は大きくなったらもっと格好良くなるって」
「ホントかなぁ…」
「多分な」
「たぶんはなんてヒドーイ!」
「あはは」


鏡に写る臨也を見ながら話しかけていたのだが頭を撫でていた手に臨也の手が重なりそのまま握られた。
何かあったのかと臨也を見れば先程とは違う目付きで
なんか前にもこんな目をしていたなーと思いながら見つめていたら臨也の口が開いた。


「ねぇシズちゃん」
「…なんだよ」


嫌な予感しかしないのはいつもの事で
その予感は大体当たるのだが
当たっても嬉しくは無いのが本当のところだ
いや、多分嬉しくないはずだ





「今日は一緒に寝てよ」





いっぱいがんばるからね!
がんばらんでいい!!
もうシズちゃんったらはずかしがりやなんだなーかわいいよ
うるせぇ!!
いたいいたい!あたまぐりぐりしないでよ!!
うるせぇ!うるせぇ!!
シズちゃんのばかぁ!!


















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