半信半疑
───────────────
「俺は、涯が好き」
───大好き、
その囁くような声に 耳を疑った。
いや、もうキスの件から現実味はなかったのだが
集と自分が「両想い」であることが信じられなかった。
男同士だ。
集にはいのりがいる。
自分には葬儀社リーダーとしての責任がある。
恋愛などにうつつを抜かしてなどいけない。
でも、そんな事は 既に頭に無かった。
「…返事は今度でいいからさ、難しく考えないでよ」
集は硬直してしまった俺の頭を髪をとく様に撫でて
「待ってるから」と捨て台詞を残し、その場を去った。