叶依は帰宅後、
テナルアが待つ、科学室へ向かった。
【テナルア】は自称26歳の科学班班長
叶依の姉貴分みたいな存在でもある。
しかし少々変わり者であるため、彼女の実験は危険すぎる、と科学班の間では噂となっていた。
…そして後々現れる、【籠の中の鳥】の実の姉であった。
叶依はノックして部屋に入ると、ムワッとした熱気が立ち込めた。
「あっっっつ!!今の季節分かってんのこの部屋は!?」
叶依はついつい叫んでしまった。
ドアを開けると薬品やら本やら書類やらの数々が所狭しと並んでいた。
その奥へと進むと目当ての人物が薬品を混ぜては爆発音を響かせ、あられもない惨状になっていた。
―…ボンッ!!
「…っ!!また爆破しやがった!!」
テナルアは爆発した薬品を良く分からない形をしたロボットであろうモノの口に薬品を流し込ませ、さぁやろうと言わんばかりにまた次の実験をやりだした。
「テナルア!!この部屋季節感が無さすぎ!!」
叶依は声を張り上げ、テナルアにとりあえず今の季節を教えてあげようと思っていた。
「今の季節…?今は夏だろう?」
「分かってんのかよ!!」
この季節感皆無の部屋では、叶依は突っ込むのも精一杯だった。
「テナルア…とりあえず、出ようか…」
そう発した途端、部屋のドアが勢いよく開いた。
部屋に流れた風が、叶依には凄く冷たく感じてしまった。