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すきなんだ。
いつも堂々として、誰からも頼りにされている憧れの先輩。いつからか、その姿を見るたび目で追いかけてしまうようになった男の人。
その彼が、とても強いまなざしで私を見て、少しだけ頬を赤く染めながら、柔らかく、それでいて強く私に言った。
その言葉の意味を理解した瞬間、身体中の血液が沸騰してしまったのではないかと思うくらい熱くなって、恥ずかしくて、びっくりして。けれどそれ以上に、嬉しかった。
まさか先輩が、私と同じ気持ちだったなんて!
まさに天にも昇る気持ちだった。その瞬間だけは。
「亜希?」
瀬多先輩を好きだと感じる時、常に私を付きまとう劣等感。
離れない、拭えない。この蠢く負の感情は、私を蝕む。
先輩、私もあなたが好きです。大好きです。
けど、それでも私は、
「……ごめんなさい」
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