説明しよう!
マグノリアの街を守っているヒーローは、魔獣戦隊フェアリーファイブ。
ほとんど学生だけで活動している為に、どうしても都合が付かない時があるが、基本事件が起きれば駆けつける。ちなみにメンバーに選ばれた時点で、彼らに拒否権はない。
各自、色と動物をモチーフにしている。何故かグリーンは人語を話す猫で、主人公のレッドが不在。
試験前は殺気だっているので容赦できない。庶民派ヒーロー。現在、表だって動いているのは妖精学園の生徒(と、猫)。
主な活動は幅広く、悪の組織から万引き小僧まで、とにかく悪をせん滅する。悪が滅びるまでヒーローに自由はない(つまり永遠に自由はない)

cast
レッド…不在
アイスウルフ(ブルー)…グレイ
サンダーパンサー(イエロー)…ラクサス
スターラビット(ピンク)…ルーシィ
ウィングキャット(グリーン)…ハッピー
司令官…エルザ



ヒーロー参上





どの町にもヒーローはいるものだ。そして、都会から少し外れた町マグノリアでも数人のヒーローが活躍していた。
夜、女性の悲鳴が響き渡れば、黄色い影が駆け付けた。公園の茂みで若い女性が男に押し倒されていた。誰がどう見ても婦女暴行の現行犯である。
そしてその場に駆け付けたのは黄色い全身スーツにヘルメット姿の男。

「お、お前は!魔獣戦隊フェアリーファイブのイエロー!サンダーパンサーだな!」

説明的台詞を叫ぶと、男は女性から離れ懐からナイフを取り出し、イエローにナイフを向ける。
イエローは拳を握りしめると、歯軋りをした。

「このクソ忙しい時に、呼びだすんじゃねぇ!」

イエローは雷を纏う拳で男を殴りとばした。
男は激しく吹っ飛んでいき、木に身体を打ちつけてそのまま気を失ってしまった。公園内に静寂が訪れる。
怒りに身体を震わせるイエロー。そこに、色違いの全身スーツの二人組が現れた。ピンクとブルーだ。

「早ッ!もう終わったのね」

「せっかく変身したのによぉ」

呟いたブルーの姿は下着一枚だった。ヘルメットに下着一枚の姿とは変態以外の何ものでもない。
ピンクはようやくその姿に気付きぎょっと目をむいた。

「服は!?」

「ああ!いつの間に!」

「てめぇら来るのが遅ぇんだよ」

イエローの苛立たしげな声に二人は振り返った。

「あたしだって急いできたのよ!勉強中だったのに」

ピンクの言葉にイエローはあきらめた様に溜め息をついた。
先ほど被害にあっていた女性はいつの間にかいなくなっている。周囲に人がいない事を確認するとイエローは手首に装着してある腕時計型の腕輪に口を近づけた。

「解除」

声に反応して腕輪が鈍く光った。それと同時に、全身スーツとヘルメットの姿から、シャツとジーンズというラフな服装へと変わった。
あらわになった顔は若い。義務教育を終えたばかりだろう、右目に傷のある金髪の少年だ。少年が小さく息をつくと二人も少年同様に服を切り替えた。
ピンクは金髪の少女。下着一枚だったブルーは黒髪の少年だ。どこかで脱ぎ捨てたスーツは、後で探しに行くのだろう。何とも間抜けだ。

「もー!明日から試験なのにー!」

少女が嘆く様に呟くと、黒髪の少年はその場に座りこんだ。

「部活だって試験前は休みなのによぉ。こっちの都合はお構いなしか……て、おい。どこ行くんだよ、ラクサス」

金髪の少年ラクサスが背を向けて歩きはじめていたのに、黒髪の少年が声をかける。
ラクサスは鬱陶しげに振り返った。

「帰んだよ。今引越しの荷解きを手伝わされてんだ」

「何、知り合い?」

「……まぁな」

去っていくラクサスの後ろ姿を見送って、二人は溜め息をついた。

「ねぇ、グレイ。ラクサス何か楽しそうじゃない?」

「気のせいだろ。大体あいつが楽しんでるところなんか想像できるか?」

想像したのだろう、少年グレイは顔を歪めた。

「……俺達も帰ろうぜ。勉強しねぇとマズい」

立ちあがるグレイに、少女は頷いた。

「じゃぁな。ルーシィ」

「うん。明日のテストがんばろうね」

互いに、呼び出しがかからない事を心の底から祈って、別れたのだった。

その頃ラクサスは帰路についていた。
家の近くまで差し掛かると、小さな影が飛びついてきた。

「ラクサス!」

飛び込んできたのは少年だった。ラクサスの背の半分ほどにしか満たない幼い少年。
ラクサスが小さな体を抱きとめてやると、少年が顔を上げた。不満そうに口を尖らせている。

「どこ行ってたんだよ。ラクサス」

「野暮用だ」

「やっほー?」

「……何でもねぇ。おら、さっさと終わらせるぞ。ナツ」

ラクサスが頭を撫でてやると、少年ナツはにっと笑みを浮かべたのだった。
こうして一般人に戻ったヒーロー達の夜は更けていく。この後の出動は何とか免れた様だった。




20100802

現在不在のレッドは、ファイアキャット(予定)

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