読者な彼ら





宿舎へ戻る途中の車内。elementsとマネージャーの話題は、携帯小説の話しになっていた。

「とうとう終わっちゃったね」

ロキが読み続けていた連載が終わったのだ。
ミストガンも読むようになっていたのだが、内容に納得していなかった。

「私は、あんな風に見られていると言うことか?」

未練がましく虎視眈々と狙うような、女々しい男だと。
ラクサスが鼻で笑い、それを不快に感じたミストガンの表情が歪む。

「ラクサス、言いたい事があるならはっきり言え」

「何もねぇよ」

笑いながら言っても説得力はない。
訝しむミストガンに、ロキは小さく呟く。

「ていうか、君も読んでたんだね」

ラクサスの反応は、小説の終わり方を知っているととれる。
ラクサスが揶揄する笑みを止めれば、それはロキの言葉が的を得ていた事を教えているようなものだ。
無言でいると、ナツが口を開く。

「俺も!俺も読んだぞ!」

三人の視線が、一斉に向く。

「てめぇ、読んだってあれを読んだのか」

「ナツ、何故そんなことをしたんだ」

「まだ携帯は持たせてないのに、どうやって……」

ラクサスとミストガンの咎める声と、ロキの訝しむ顔。ロキの疑問は、ナツがすぐに答えた。

「グレイに頼んだ」

ナツが「お願い」と一言言えば、確かに何でも言うことを聞きそうだ。
三対の非難の目が、グレイに向くが、当人は毎度のごとく携帯小説に集中していて気づいていない。
ミストガンが咎めよう口を開くが、それはナツの言葉にかき消された。

「俺、赤ちゃん生めんだな」

感心したような声は車内にいた者の耳に届いたが、誰も言葉をかけられなかった。
その後、宿舎につくまで無言が続いたことは言うまでもない。




20110418

「産めるわけねぇだろ!」と突っ込みたくとも、できなかったラクサス氏。


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