なんたらかんたらうんぬんかんぬん(うろ覚えなので省略!)
後々に至るまで語り継がれる魔導師ギルドがあった。
その名も、竜の尻尾(ドラゴンテイル)――――



第1話「竜の尻尾」



ギルドの前に二つの影が立っていた。
一つは、炎のような赤い髪の男。定例会に行っていた竜の尻尾のマスター、イグニールだ。
そして、その隣には、金髪の幼い少年が輝かせた目でギルドを見上げている。

「ここがドラゴンテイル?」

イグニールは頷いて、ギルドに視線を向ける。

「竜は存在するのかしないのか。絶滅したのか。竜は決して人の前に姿を現す事はないとも言われている。そう人は数えきれないほどの説を立ててきた」

きょとんと見上げてくる少年に、イグニールは笑みを浮かべる。

「謎につつまれていれば追究したくなるだろ」

イグニールはギルドへと視線を戻し、目を細めた。

「俺は探しているんだよ、竜を」

ぼんやりとイグニールを見つめていた少年は、背を押されて一歩足を踏み出す。
慌てて足を止めた少年の横を、イグニールが通りすぎギルド内へと入っていった。

「おいで」

通りすぎざまに小さく呟かれた言葉に、ラクサスはイグニールを追いかけるようにギルドへと足を踏み入れた。
ギルド内は賑やかというには品が良すぎるほどに騒がしく、それと同時に誰もか楽しげに笑みを浮かべていた。

「おかえりなさい、マスター」

イグニールの帰還にいち早く気づき出迎えの言葉をかけたのは、グラビアで度々見かける少女ミラジェーン。
従業員の制服を身に纏っており、イグニールが返事を返すと、すぐに仕事へと戻ってしまった。
出迎える言葉はいたるところからかかり、それに返事しながらイグニールはギルド内を進む。
足を進めながら、イグニールの目は周囲を見回しており、何かを探しているような動きに、少年は首をかしげた。

「どうしたの?」

「紹介しようと思ったんだけど、仕事かな。俺には息子が――」

「父ちゃん!」

イグニールの声に被さった声、それと同時に慌ただしい足音が響く。
足音の発生源は、イグニールの前で止まった。

「おかえり、父ちゃん」

無邪気な笑みでイグニールを見上げるのは、桜色の髪の少年。

「ああ、ただいま、ナツ」

イグニールは少年――ナツ――の額に口づけを落とした。
唇を離したイグニールは、柔らかい瞳でナツを見つめ、まるで存在を確認するかのように髪を梳く。
甘い雰囲気に、近くにいた少年は俯いた。直視できないほどに、二人の空間が出来上がっているのだ。
周囲が気にも止めていないことから、これが頻繁に行われているのだと分かるが、初めて目にした少年には居心地が悪かった。
イグニールの行為を甘んじて受けていたナツは、少年に気付ききょとんと首をかしげる。

「父ちゃん、こいつ誰だ?」

イグニールは思い出したように「そうだった」と呟くと、少年の隣に膝をつき、肩を回した。

「この子はラクサス。マスター・マカロフの孫だよ」

「じっちゃんの?」

目を見張るナツに頷いて、イグニールはラクサスに視線を向ける。

「ラクサス、俺の息子のナツだ」

「ナツ」

ラクサスとナツの視線が交う。

「よろしくな、ラクサス」

笑顔で手を差し出してくるナツに、ラクサスは顔が熱を持っていくのを感じながら、手を伸ばした。
この先も二人は気づくことはないだろう、この出会いは運命だったのだと。




20110822

ラクサスとナツの位置を交換してみた。妖精の尻尾の皆がギルドにいますって事で。マスター・マカロフは引退して旅に。かな
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