節分





恵方巻きにかぶりつくナツ。ナツの口には質量が大きすぎて、顎が外れそうだ。

「ふぐ、ふふぉい(太い)……」

半分ほどまで食べると顎が疲れてしまい、ナツは恵方巻きから口を放した。必死に食らい付いていたせいで、食べかけの恵方巻きと口の間を、透明な糸が繋ぐ。

「太いし、長いんだよな。これ」

唇を尖らせるナツに、同席していたグレイの鼻から赤い筋が流れた。
同じようにナツの隣に座っていたルーシィが、グレイの異様に気づいて目を見張った。

「グレイ、あんた鼻血……ッ」

グレイは慌てて手で覆うが遅かった、ちょうど食べようと口元まで持っていっていた恵方巻きが着色されているではないか。
明らかにに不自然な色だ。

「あ?グレイのだけ、何か違くねぇか?」

首をかしげるナツに、恵方巻きに夢中だったハッピーもグレイに視線を向ける。

「本当だ。まるで血みたいに赤いね」

ていうか、血だから。
ルーシィはあからさまに顔をそらすと、自分の手元にある恵方巻きに視線を落として顔をゆがめた。とてもじゃないが食べる気がしない。
ルーシィは皿へと戻し、恵方巻きに必死に食らい付くナツ達を見守りながら、豆をまく時はグレイを狙おう。そう、決意するのだった。


20100203

ありきたり!



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