調香師が誰かを探しているかのようにうろうろと食堂と廊下を行ったり来たりしているのを見て、占い師が声をかける。
「だれを探しているのかな?」
「イライさん、こんにちは。なまえさんを探しているの、ここ2、3日みていなくて心配しているの」
思いがけない人物の名前があがり、一瞬驚いてしまう。彼と接点があるのだろうか?と考えてしまうが今、彼に合わせることは出来ない。
「ああ、神父さんは具合が悪いらしくてね。部屋に篭っているみたいだよ」
「まあ、そうだったのね。……そういえば、こないだお話したときもあまり顔色が良くなかった気がしたのよ」
「仲がいいのかい?彼とは」
「ええ!相談に乗ってもらったり、一緒にお茶会なんかもするのよ」
彼のことを思い浮かべて調香師はふふ、と口元を隠して笑っている。自分の知らないところで彼が率先して交流をしていたなんて知らなかった。
「でも、体調が悪いのならしょうがないわね。元気になったら相手してもらうわ」
彼のことよろしくね、と言い残し調香師は女性陣の集まっている広間へ帰って行ってしまう。まるで占い師が看病しているとでも決め付けているかのように言い残す調香師に浅く溜息をついた。医師といい、自分は面倒見のいい人間とでも思われているのだろうか。