所持金500円【N/忍/N+S+S+K/完】 | ナノ


※現パロで小学生


所持金500円





焼きそばタコ焼きポテトからあげにりんご飴。どれもこれも魅力的で、全て食べてしまいたくても、値段はとても安いとは言えないもので、小学生の財布には優しくはないものだ。

一つ300円から500円、所持金500円のナルトにとって食べられるのは一つか二つ。六年生ともなれば、当たらぬくじ引きより確実に口に入れれる食べ物だ。あくまでナルト理論だが。

そして夜遊びは許されない小学生も、この夜店の時ばかりは親から外出許可がだされるのだ。


「今日いくら持ってきた?俺今日母ちゃんに600円貰ったぜ」
「…ぐっ…俺500円」
「はっ…勝ったな!」
「るせぇ、ばか」


先さき歩くナルトとキバをよそに、自分のペースでゆっくり歩くシカマルとサスケ。人込み面倒くせぇ、とグチをこぼすシカマルに対しサスケは団扇でパタパタと自身に風を送る。二人がついて来てないことに気付いたナルトとキバは一旦立ち止まると、急かすように手招きした。


「早く来いってば!」
「そうだぞ!屋台の食いもん無くなったらどうすんだよ!」

「…ふっ…バーカ無くなんねぇよ」
「テメー等はしゃぎすぎなんだよ、迷子になっても知らねぇからな」


なるかぁ!と叫ぶ二人にシカマルとサスケは笑いながら二人まで小走りに近寄った。


「なあなあ、お前等はいくら持ってきたんだよ」
「5000円」
「10000円」
「………お前等嫌い」


細かい金なかったんだよ、と二人声を揃えて言った。







「何食うよ」
「からあげ!でも、焼きそばもいいよなぁ」
「あー…俺ガッツリ系はいらね」
「なんで!」
「家で食ってきたんだよ」
「俺も家帰ってから兄さんと食う」
「やっぱテメェ等嫌いだ!」
「はっ、上等だ」


シャリン、シャリンと小銭が入った財布を鳴らすキバ。500円にしては膨らんでいる財布よく見てみれば、その中は一円や十円ばかりであった。ニシシと笑うナルトもまた小銭ばかりの300円であった。

キョロキョロと辺りを見渡すナルトとキバはあれもこれもと目移りばかりしていた。が、キバの目がある一点にとまった。


「あっ!かき氷!かき氷にしよーぜナルト!」
「おおっ!夏らしいってば!」
「決まり決まりっ!サスケとシカマルに拒否権ないからな!俺メロン!」
「あっあっ!俺ってば俺ってば、イチゴ!」

はい、はいっと挙手するナルトに一同苦笑を零しつつ、近くのかき氷の屋台へと向かった。


「おっちゃんかき氷四つ!俺メロン」
「俺はイチゴだってばよ!」
「あー…じゃあみぞれで」
「……ブルーハワイ」


はいよ!っと異性のいい声と共に屋台のおじさんが次々と器半分だけの氷を盛っていく。一見器いっぱいに入っているかのように見える氷は、見事に半分から下は空白である。これもまた祭りならではのこと。ナルト達は文句言うことなく今か今かと目を輝かしていた。

かけられるシロップが白い氷を華やかに飾る。ただ、シカマルだけはみぞれで白いまでなのだが。

出来た氷をそれぞれ持ち、300円払う。これで残り200円だなぁ、と嘆くナルトをシカトして三人は座って食べられる場所を探しに歩きだしていた。


「あそことかいんじゃねぇの?」
「ああ、人も少ないしな」
「面倒くせぇ…」
「ちょっ、待てってば!」

───────ドスッ


「…………」
「…………」
「…………」
「…俺の…かき氷がぁ…」


今の状況を簡潔に説明すると、走り出そうとしたナルトが転んだ。何もないところで。幸い怪我はなく、無傷で済んだ。だが一つ被害があるとするならばかき氷である。ただでさえ器に半分しかなかったかき氷はもう半分までもこぼれて失ってしまった。落ちた氷はすでに溶けはじめ、地面には水適となって跡を残す。半分の半分しかないかき氷が虚しく思え、ナルト以外の三人はかける言葉を失っていた。


「……最悪─…」


300円のかき氷を零したことは痛く、ナルトの瞳は潤みかけていた。しゃがみ込んだまま動かずナルトはかき氷と睨み合をしている。


「………はぁ…ナルト」


小さく息をはいたのはサスケで、呆れたように苦笑を浮かべてナルトの前にしゃがみ込んだ。
ナルトが沈みきった表情で顔を上げた時、手に少しの重みを感じた。

え?と言ったように手元を見たナルトは、サスケが自身のかき氷を自分のかき氷の器へと移してるのを光景を目にする。


「……サスケ?」
「……ふん、俺の分けてやるよ」
「…サ、サスケェ!」


サスケのブルーハワイ味の氷はナルトのイチゴ味の氷と混ざって紫色に変わっていく。色的にグレープ味かな?なんて期待しながら、ナルトはサスケの優しさに感謝していた。


「サスケばっかに良いとこ持って行かせるかっての!な?シカマル」
「…へっ…そうだな」


笑いながら近寄るキバとシカマルもまたサスケ同様それぞれのかき氷をナルトの器へと移す。お前等愛してるってばよ!と叫ぶナルトの愛の言葉を適当にあしらって、機嫌が戻ったナルトと共に先程行くはずだった人込みの少ない場所へと移動した。その手には誰も食べてもいないのに減っているかき氷を持って。







「……うへぇ…なんか色グロイ」
「文句言うなっつの馬鹿」
「ウスラトンカチが、落ち着きがねぇから転ぶんだよ」
「次は迷子かぁ?」
「なるかぁ!」


四人の楽しそうな笑い声が響く。イチゴ、ブルーハワイ、メロン、みぞれが入ったかき氷の味は微妙だったけど、ちょっと泣きそうになったナルトだった。





-----PS,

私思ったよりこの四人の話が好きみたいですww
かき氷を食べる前に零して、友人に分けてもらったのは私の実体験でした←