背中合わせ #2後【N/忍/ナルサス/完】 | ナノ






ナルト達のクラス三年二組の今ブームである遊びはドッジボール。男女問わず参加しやすいので絶大な人気を誇っている小学生の遊びの原点だ。

チーム分けは日によって違うが、チーム分けにおいて一つだけ絶対的な暗黙のルールが存在する。

――ナルトとサスケを離してはいけない

前に一度サスケとナルトが違うチームになってしまった事があった。いつも適当に決めていた中で、その日まで違うチームにならなかったのは偶然にしては出来すぎた事であった。だがその日は違った。その日は分かれてしまったのだ。

ナルトは可愛い弟が心配で仕方なかったのであろう。ただ違うチームになるだけなのに、コートに入る時一生の別れのように悲しんでいた。「サスケ、気をつけろよ?」「どうしても辛いなら無理しなくていいんだぞ?」とホイッスルがなる瞬間まで声をかけていた。それに対しサスケは非常に聞き分けがよく、素直だったので「でも決まったことでしょ?ナルト、俺なら大丈夫だから」とあっさりしていたものだ。

それからはヒドかった。ナルトは同じチームの仲間がサスケを狙おうとすれば、子供とは思えない形相で睨みつけるのだ。もし当てでもしたら殺されるのではないかと思うくらいに。そしてナルトが受けたボールは敵であるサスケにパスしだすしだいだ。ナルトの怖さに泣き出す子もいて、試合どころではなかった。
ただ唯一救いだったのはサスケの運動神経が良かったこと。どういうことかというと、誰しももがボールをコントロール出来るわけでない。たまたま手元が狂ってサスケの方へボールがいってしまうことがあった。その度にサスケは何でもないような顔でボールを受け止めるのだ。ナルトチームの皆にはサスケが天使にしか見えなかった。

それからはサスケとナルトはいつも同じチームにしている。どんなに運任せなチーム決めでも、クラスメートは何とか小細工してサスケとナルトが一緒になるようにした。それなのに、それなのにそれなのに今の状態はなんだ。ああ、やばい。死ぬ、死にたい。誰だ、くそ。最悪、最低。クラスメートの心に焦りが生まれ始めた。皆思ってることは一緒だろうが、口には出さない。最悪の事態が起こった。それは、サスケとナルトのチームが分かれてしまったのだ。

「あーあ、面倒くせぇことになっちまったなぁ」

「何が?」

シカマルが心底ダルそうにしていると、何も知らないサスケは無邪気に笑いかけてきた。勝つぞ、シカマル!なんて言われたら、ナルトには悪いがこのままのチームがいいなんて思ってしまうのだ。

「サスケサスケサスケサスケサスケ」

一方ナルトは呪文のようにブツブツとサスケの名前を呼び続けていた。どんだけ過保護なんだ、とは言わない。だってこれはもう過保護の範囲を越えている。ナルトから放たれる負のオーラにナルトのチームである仲間も近付けずにいた。

「早く始めようぜ」

早く始めたくて仕方ないといったように、サスケがナルトチームに呼びかける。するとナルトはとてとてと駆け寄るとサスケに抱き着いた。

「サスケェ…」

「どうした?ナルト」

「俺ってば俺ってば、お前と違うチーム」

サスケは苦笑を浮かべナルト、と優しく呼び掛けるとぽんぽんとナルトの頭を叩いた。名を呼ばれたナルトはゆっくりと、その今にも泣きそうな顔をあげた。

「ナルト、俺はお前とも戦いたい」

ニッコリ笑う純粋な少年。そう言われてはナルトも萌えない、いや燃えないわけがない。ナルトの瞳は輝いており、心にはサスケと戦いたいという気持ちが芽生えていた。

「うし!俺ってば、やる気出てきた!」








ホイッスルにより始まった試合。じゃんけんによりボールは最初ナルトチームから。うおおおおっ!というナルトの雄叫びと共に投げられたボールは早速サスケチームの一人へと当たる。よっしゃ、とガッツポーズをとるナルトに対しやるな、と誰かが言った。


当てて、当てられ、その繰り返し。そしてついにナルトとサスケだけがコートに残る結果になった。外野からの歓声の中、ナルトとサスケの頬には汗が伝う。それが緊張感を表していた。

「ナルト、これで終わりにするから」

今ボールはサスケの手にある。ごくり、と唾を飲む音がやけに鮮明に聞こえた。

「こい、サスケェ!」

「……………っ」

刹那、サスケによりボールが投げられる。素早いボールから逃げることなく、ナルトはそれを真正面から受け止めることを心に決めた。

――――――どんっ

「…………」

「…………」

「…………」

「……やった」

そう声をあげたのは―――ナルトであった。サスケのボールを受け止めたのだ。しっかりと、その手で。チィ、とサスケの顔が歪められる。それからフン、と笑った。

「やるな、ナルト」

「へへ」

次は俺の番、そう言ってボールを片手に、手を振り上げた。


――――キーンコーンカーンコーン


鳴り響くのは休み時間終了のチャイム。ナルトの手からコロコロとボールが転げ落ちる。

「………あ、次算数だ」

「わああああ!戻れえええ!」

一斉に一同が走り出す。ナルトはそんなクラスメートの背中を見つめながら、サスケへと手を伸ばした。

「もどろっ」

サスケはその手を見つめると、ニコッと笑って、その手をとった。

「楽しかったな」

「うん!でもやっぱサスケと一緒がいいなあ」

「俺も、」




「俺もナルトと一緒がいい」

そんな風に言ってサスケが無邪気に笑うもんだから、ナルトはサスケを握る手に力が篭った。







――――PS,

何だ、この残念クオリティ

ギャグにもなりきれてない