「狭い。もっと寄れ」
「無理!もうぎゅうぎゅうだってばよ!」
とてもじゃないけど広いとは言えない風呂は、俺とサスケが入るには十分な狭さだった。昔はよくサスケと入っていたのだが、いつからか一緒に入ることは無くなっていた。だから今この状況は久しぶりで緊張していないと言えば嘘になる。ただ、幸いにも湯気でお互いの顔が見えず、それが唯一の救いだった。まだ入ったばかりなのに、のぼせたみたいに顔が熱い。
軽口を叩きながら足でお互いに蹴りあったりして、じゃれあい飽きた頃、しばしの沈黙が続いた。流石に頭がクラクラしてきたから、上がろうかと腰をあげた時サスケによって呼び止められた。
「……ナルト」
「……ん」
「ごめんな」
何が?そう言おうかと口を開いた時、サスケはすでに風呂場から飛び出していた。その体にはいつの間にやらタオルをまいて。
なにやらすぐにでも俺から離れたそうだったが、伝えたいことだけ伝えておくことにした。
「サスケ、俺も」
ぽたり、とサスケの髪から雫が床に落ちる。何が?とでも言いたそうな顔でサスケが真っ直ぐ俺を見つめてくる。さっきの俺もきっとあんな顔してた。
「俺もごめんってばよ」
そう伝えるとサスケは笑って頷いてくれた。その笑顔をみてると、サイに優しくしてやろうかなって少しだけ思った。
「おやすみってばよ」
「……」
「おやすみ。ナルト、サスケ、サイ」
「おやすみなさい」
カカシ父ちゃんにおやすみの挨拶をした後、サスケとサイと一緒に自室へと上がっていく。なんでサイまでかというと、サイも俺達の部屋で一緒に寝るからだ。正直、あれからサイと一言も話ていない。別に怒ってるとかじゃないけど、話すきっかけがなくてこのざまだ。
まあ、いいや。明日仲良くすれば、なんて考えて布団に潜った。二段ベッドがあるのだけれど、俺は寝相が悪いからサスケはベッドで俺は床に布団を敷いてねている。だから俺専用の上のベッドは俺の服やらゴミやらで散らかっていた。そして今日はサイも隣で寝る。寝るだけだから問題ないだろうと会話もなく目を閉じた。疲れていたのか睡魔はすぐに襲いかかってきた。
「……ひっく…うっ…お母さ、ん」
「………ひっ…ひっ…」
「……ぐず…うぅ…っ…」
「………さい?」
ぼんやりとハッキリしない視界の中、耳に響くのはサイの泣き声。俺が起きたのに気付いたサイはびくっと肩をはねさした。暗くてよく見えないではあったが、サイが泣いているのは確かにわかった。
「どうしたんだってばよ?」
「……おかあ、さ…」
言葉をつまらしながらも、何度も母を呼ぶサイに胸が痛んだ。なんだ、寂しいんじゃないか。そうだ、寂しくないわけがない。まだこんなに幼いのに。知らない家に一人、怖くないわけがない。
「サイ、大丈夫だ」
「……っ…なる、と、」
「俺が傍にいてやっから、な?」
そう笑って言ってやると、サイがこくこくと黙って頷いた。それがちょっと可愛かったから頭を撫でてやれば、慣れない行為だったから少し恥ずかった。
それからサイが落ち着くまで手を握っててやると知らない間に意識が無くなっていた。次に目が覚めた時、サスケがニヤつきながらこちらを見ていた。それで、笑って妬ける、なんて言うもんだからサスケを布団に連れ込んでもう一回眠ることにした。
---------PS,
サスケ誕生日おめでとう!
これで無理矢理ではありましたが
手を繋ぐ→キスをする→抱きしめる→風呂一緒に入る
達成です!
サスケは結局ナル兄が好きってことで話をまとめましょうか(まとめられてない