悪魔?天使?#2【N/忍/ナルサス/完】-サス誕(2010) | ナノ



その後は酷かった。やれ馬になれだ、やれ絵本を読めだ、トイレ行きたい、暇だ、腹減った、喉渇いたって何でも俺にやらそうとする。懐かれてるなんて思わねぇ。俺があたふたするのを楽しんでやがんだよ。馬になって背中にのしてやれば、のろくてつまらない。絵本を読んでやれば、読むのが遅い。暇だというから、ゲームを差し出せば、くだらない。喉が渇いたというからお茶を与えるとジュースがいい。我が儘我が儘我が儘!!サスケには子供らしく甘えるくせに俺には全く可愛いげがない。サスケも面白がって好かれてんなぁ、って。何処から見ればそうなるんだってばよっ!
イライライライライライラ
苛々はつもりにつもって今に至る。
サスケはサイにホットケーキを作ったらしく、サイはそれを嬉しそうに食べている。俺の分は、って聞くとあるわけねぇだろ、って冷たく突き放された。そこでまたサイがニヤって笑うから、もう一度頭をこついてやった。そしたら次は、何倍にもされてサスケに殴られた。泣いてるサイを慰めるサスケ。

「痛かったよな。ごめんな」

って。
泣きたいのはこっち。痛いのはこっち。
俺だってあんなふうにサスケに笑いかけられた事ないのに。バカサスケ。

俺は気に食わない気持ちのまま、二人に背中を向け、テレビをつけた。面白いものなんて何もやってない。背後からは楽しそうな声が聞こえる。ほら、誰もとらねぇからゆっくり食べろってサスケの優しい声。何だってばよ。お前、そんな子供好きだったか。例えば大事なおもちゃを取られた子供のような。例えば生まれたばかりの弟に母をとられた兄のような。きっとそんな気持ち。寂しいなんてガキじゃないから言えない。頭に入らないテレビをただひたすら見てる。後ろからするのは甘い匂い。
早く帰ってこないかな、カカシ父ちゃん。何だか自分が馬鹿らしく思えて、みじめに思えて、嫉妬を感じる自分が嫌で、だから俺は自分の部屋に戻ることにした。俺だけの部屋じゃないサスケと俺の部屋。
リビングを出ていく時、サスケの視線を感じた。きっと呆れてる。ぎゅっと胸が締め付けられた。





部屋で漫画を読む。もう何回も読んだ、次のページでどうなるか頭に入ってる。面白くない。ゲームだってする気にならない。音楽を聴こうにも、そんな気分じゃない。宿題なんてもってのほか。ああ、頭が痛い。もう寝よう。





「ただいまー」

玄関が開く音で目が覚めた。あ、父ちゃん。俺は、腕を天井に向けて精一杯伸ばした。眠い目を擦りながら階段を降りてゆく。気分は少しだけ楽。リビングから光がもれてる。ああ、暗くなるまで寝てたのか。なんだか重い足取り。ドアのぶ、やけに冷たい。ゆっくりゆっくり扉をあけた。静かに静かに扉をあけた。

「お、ナルト」

父ちゃんが俺を呼ぶから、サスケとサイが気付いてこっちを見た。何だか気まずくて、俺はすぐに目を逸らした。

「父ちゃん、おかえり」

何だか顔が引きつった。父ちゃんは俺達の異変に気付いたようだったけど、何も触れないでご飯作るね、って言ってくれた。だから俺は黙ってコクリと頷いた。





ご飯は豪華だった。サイの好物だってよ。サイが喜んでた。食事が喉を通らない。お腹空いてない。味がしない。サスケの顔も見れない。いっぱい残した。サイにも悪いことしてるって分かってる。だけどイライラする。カカシ父ちゃんなんだか困ってる。サスケとサイはきっと呆れてる。

逃げるように風呂を洗いに行った。風呂の湯がたまるまで少しの辛抱。





湯舟に足の先っちょをつけた時、熱くて思わず足を引っ込めた。

「…はあ」

さっきから出るのはため息ばかり。俺は少しの間湯舟に手だけをつけて、熱い温度になれるまで待った。そろそろいけそうだな。俺はゆっくり湯舟に体をつけた。

「ナルト」

丁度肩までつかった時、名前を呼ばれ俺は思わず、びくっと肩をはねさした。

「なな、なんだってばよ」

動揺した様子は、声に現れ、声を震わしている。だってだって急にサスケに声をかけられたから。俺はドアにうつるサスケであろう影をみた。

「…あのさ」

サスケは何だか言いづらそうに、言葉をつまらしている。俺はさっきよりもずっと冷静に

「どうした」

と声をかけた。

「……俺も一緒に入っていいか?」

…………………………………………………………………………はい?

「ななななななななななななな、何言ってんだってばよっっっっっ!!!!!!」

「で、でかい声出すんじゃねぇよっ!!ウスラトンカチがっ!!」

「だだだだって、お前が変なこと言うからじゃんっ!!」

「なっ………!!」

俺はのぼせた様に顔があつくて、体がほてって、ただでさえ風呂場なのに大声を出したから、俺の声は響いてうるさかった。

「…サスケ?」

急に静かになったから不思議に思い、俺はサスケを呼んだ。

「……嫌ならいい。おかしなこと言って悪かったな」

やけにシュンとしたサスケの声。
そんなのさ
そんなのさ

「サスケェッ!!!」

俺は思わず湯舟からとびたし、風呂場の扉を開けていた。扉の向こうにあったサスケの顔は驚いているのか、真っ黒な瞳で俺を見つめていた。

「嫌なわけねーだろっ!!」

「……っ」

みるみる内にサスケの顔が紅くなっていくのが分かった。ああ、もう可愛い。何だかサスケを見たのが久しぶりな気がする。触りたいな、かわいいかわいい。サスケかわいい。

そしたらサスケがプイッと顔を逸らして「ナルト、前」って言うから、急いで両手で前を隠した。


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