悪魔?天使?#1【N/忍/ナルサス/完】-サス誕(2010) | ナノ

悪魔?天使?
パロ。設定はこちらと同じ




初めて従兄弟に会った。
俺よりもずっと年下。なんだか、腹の底がくすぐったかった。お兄ちゃんなんて柄にもないけど、くすぐったくて、温かい気持ちになった。

ふわふわふわふわ

甘い、幼子の匂い

ふわふわふわふわ





「ナルト、サスケ。入るぞ」

俺達からの返事も待たず入ってきたのは、カカシの父ちゃん。相変わらず変な頭だ。カカシの父ちゃんは銀髪で、俺は金髪、サスケは黒髪。どんな風に遺伝子分解すれば、こんなにバラバラになるんだ、なんて疑問は小さな頃に考えるのを止めた。
サスケは勉強していた手を止めて父ちゃんを見た。さっき俺がどんなに話し掛けてもシカトだったのに。俺が膨れっ面でサスケを見ると、サスケはギロッと俺を睨むだけ睨んで直ぐに顔を逸らした。それがむかついて俺はサスケに向かって、あっかんべえ〜と思い切り舌を出した。

「それで何だ。」

サスケはシカト。これ以上俺に構ってられないと踏んだのだろう。少し寂しい気がしたが、俺だってカカシ父ちゃんの話が気になる。だからサスケからカカシ父ちゃんに視線を移した。

「ああ、うん。従兄弟を一週間預かることになったから」

余りにもサラッというから俺は理解することが出来なかった。

何だって?

「「は?」」

サスケと声が重なった。
ただただ父ちゃんは笑っていた。

「だからね」

父ちゃんが一度言葉をきるから、俺は唾をゴクリとのみこんだ。周りに聞こえるくらいの音がなった気がした。



「一週間、従兄弟を預かることになったから」



何だろう、なんだかむずむずするようなよく分からない気持ち。理解出来そうにないから、もう一度だけ言っておこう。


「は?」







ピーンポーン

運命のチャイムが鳴る。
ただ従兄弟がきたという合図だ。
ただ従兄弟がきただけ
ただ…ただ…
それなのにこんなに緊張するのは、何でだろう。
きっと母のお腹に弟がいると知った兄もこんな気持ちなんだろう。
どんな子だろう。
男の子って言ってた。
素直な子かな。
俺のことなんて呼んでくれるのかな。
泣き虫なのかな。
一人、母と離れて寂しくないのかな。
どんな子かな、どんな子かな。
玄関に向かえばすぐ分かるのに、体は思うように動かない。

ガチャ―――

扉が開く音。
一階から父ちゃんの声がよく聞こえる。
いらっしゃい、そう言ってる。
ああ、変な気持ち

サスケを見ると、緊張してるのか顔が強張っていた。俺が見てるのに気付いたようで目があった。だから、俺がニカッて笑うとサスケは緊張が少しほぐれたのか、顔が少し穏やかになった。俺はサスケの前にそっと手を差し出した。

「サスケ、行くぞ」

サスケはしばらく俺の手を黙ってみていた。いらねぇ、ってはらわれるか。そんなシチュエーションを考え苦笑していた俺だったが、手の平に急に体温が重なった。
あ…サスケの手…
まさか手をとってくれると思わなかったから、俺の顔は熱をもっていく。
それに気付いたサスケはニヤリと口の先端を吊り上げて笑った。そして、おれの小指に指をからめだした。細い白い指が俺の指にからまるのは何だかいやらしい。俺はきっと今間抜けな顔だろう。サスケはそっと目を細めてから、俺の指を力いっぱい握った。
ぐぎっ

「……い゛っ」

顔を歪めた時にはサスケの指は離れていて、傍には魔性の笑みを浮かべる男か俺を見下ろしていた。

「行くぞ、ウスラトンカチ」

逃げるように、部屋を出ていくサスケにキュンッと胸が高鳴る。

変なの…

俺は胸の辺りを押さえてサスケが出て行った後の扉をみた。

変なの、変なの

今日の俺、変なの

きっと扉の向こうにはサスケが待ってるねだろう。俺は駆け足で部屋から飛び出した。





「ナルト、お腹が空いた」

「だからっナルト兄ちゃんだってばよっ」

「ナルトお腹」

「……クッ」
俺は隣で肩を震わし、笑いを堪えているサスケにガンを飛ばした。俺の目の前のクソガキは、俺が動こうとしないのを見て、サスケ兄ちゃんと子供特有の甘えた声を出して、サスケに寄りかかっていた。サスケは俺にも向けたことないような、とびきり優しい顔して、なんか作ってやるから待っとけってソイツの頭を優しくたたいた。ガキは胡散臭い笑顔を作って、ありがとうって言った。そのあと、俺を見て、嫌味ったらしく笑うから頭をこついてやるとワンワン泣き出してサスケに怒られた。

だってさ
だってさサスケ
あいつが、羨ましいだろ、って言ってる気がして、お前を取られちゃう気がしたんだってばよ。

そんな事伝えられるはずもなく、俺は拗ねたように頬を膨らませていた。サスケはほっとけ、って呆れたようにガキに言っていた。

サスケのばーか

俺は何度もこの言葉を悩内で繰り返した。




あいつがきたのは、数時間前。初めてその姿を目にした時、サスケになんだか似てるかもって思った。きっと数年たてば男前になるだろうと思われる、整った顔の子供。俺がソイツまで駆け寄り、ソイツの前に座り込んだ。

「俺ナルトだってばよ。ナルト兄ちゃんって呼んでくれ」

ニカッと笑ってみせると、少年は表情一つ変えず、言い放った。



「馬鹿そう」



サイ、と名乗るガキは真っ白い肌でガキのくせによく作り笑いをする。気に食わない、第一印象はこれで決まり。何度言っても、俺をナルト呼ばわりする。サスケのことはサスケ君、とかサスケ兄ちゃんって呼ぶくせに。なんて可愛いげのないガキなんだってばよ。
カカシ父ちゃんは休日なのに仕事でどっかいっちまうし。サイの母親も、よろしくね、なんて言ってサイを預けていった。何でも一週間仕事で海外に行くらしい。サイは4歳のガキだから、母親と離れるの悲しむかな、って思ったけど全然。表情一つ変えようとしない。母親がサイ、いい子にしてるのよ。なんて言ったら胡散臭い笑顔浮かべて、行ってらっしゃい。だもんな。今時のガキはこんなにも達者で可愛いげがねぇのかと呆れた。



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