触って触らないで【N/忍/水サス/完】-サス誕(2010) | ナノ

触って触らないで



※途中で視点が変わります。
初め水月、------で区切った後からサスケになります。








「触んな」

何を言われたのか分からなかった。
そういえば昨日サスケと喧嘩したなあ。あれの原因何だったっけ。覚えてないんだから、きっと大したことなかったんだと思う。あれ、まだ続いてたんだ。サスケに触れようとして行き場の無くした手を引っ込める。サスケは根に持つタイプだったな、とサスケの野望である目的を思い出す。面倒くさい。面倒くさいよサスケ。拒絶されたみたいで僕が恥ずかしい思いしちゃったじゃん。いや、実際に拒絶されたんだけど。

カリンはざまあみろ、とでも言うように余裕の笑みを浮かべている。むかつく。ここぞと言わんばかりにサスケに引っ付くカリンに。それに全く抵抗しないサスケに。そう、君がその気ならいいさ。僕だってやってやるよ。

「重吾ーっ」

僕なりの精一杯の可愛い声で重吾に飛びついた。重吾の顔が何事かと歪められる。悪いけど重吾、君の心境なんてどうでもいいんだよね。そう思ってサスケを見るけど、まあ予想通りって言ったらそうなんだけど理想とは違う、全くもって無表情。

「あーあ、触って損した」

ボソッと一人言のつもりで言ったんだけど重吾に聞こえてたらしくて軽くショック受けてるようだった。でも僕はそんなのどうでもいいからすぐに重吾から離れた。重吾がブツブツ言ってたけど、それさえもどうでも良かった。





――――――――――――





水月とはもう3日、口をきいていない。喧嘩の理由は正直忘れた。それくらいどうでもいい理由だった。喧嘩した日、俺なりに考えた。明日はどう接すればいいのか、とかそんな事だったと思う。なのにあいつは次の日、あんなにもあっさり「やあ、サスケ。おはよう」なんて肩に手を回そうとして来やがった。人の気も知らないで、ってムカついたから手を払いのけた。それは単なる俺の我が儘だって事は自覚している。それでも悩んだ自分が馬鹿らしくて水月を突き放した。そしたら次は話すきっかけを失ってしまった。視線も交わす事もないのは、自業自得なんだが寂しいとも思う。

そして昨日、カリンが負傷した。理由は敵に襲われたとかじゃない。なんでも露天風呂で女湯と男湯の境の壁をよじ登ろうとしたらしく、足が滑って転落したらしい。何でそんなことしたのか意味が分からない。だが、特に興味もないから追求はしなかった。最近は敵の追跡もこれといってなかったからカリン一人負傷したくらいどうってことはない。ないが、これは困る。重吾に「湿布がない。少し町に出て買ってきてくれないか?」と頼まれた。同じ所に留まり続けるといつか木の葉に居場所を突き止められかねないから、同じ所に留まるのは精々長くて一週間。だから俺はこんな土地のこと知らない。つまり薬局がどこにあるかなんて知らないのだ。俺がそれを重吾に伝えると重吾は思い出したように手をポンと叩いた。

「水月。お前昨日一人でブラブラしてきたんだろ?大体町を把握したはずだ。サスケと一緒に行ってきてくれ」

「はあ?」

「行ってきてくれ」

「やだよ。サスケ怒ってるし」

「行ってきてくれ」

「…まさかこの前のこと、根に持ってる?」

「行ってき…」

「ああ、もう。分かったよ。行くよ、行けばいいんだろ。僕の周りは根に持つ奴ばかりだ」

二人が何を話してるかは分からなかったが、水月が行くのを了承したことは分かった。もしかしたら話せるきっかけになるかもしれないなんて考えた自分が妙に女々しく感じて、気持ち悪かった。





「………………」

「………………」

気まずい。やっぱり行くなんて言わなきゃ良かった。大分前を歩く水月は一体どんな顔をしてるんだろうか。自然と出た溜息に余計気が重くなった。
俺も水月もピリピリと痛い空気を肌で感じていた。相手の真意を探ることに精一杯で、背後に忍び寄る敵の気配に気付けなかった。少なくとも俺は。





『ありがとうございましたーっ』

薬局を出ても直、沈黙は続いていた。今日何度めかの溜息が出ようとした時、左肩に痛みが走った。

「いっ………」

思わず漏れた痛みの声に水月がこちらを振り返る。肩にはクナイが刺さっており、気付けば周りは見知らぬ忍に囲まれていた。

「クソ…」

「僕、首切り包丁置いてきちゃったよ」

「構わない。俺が片付け…」

「サスケ!?」

遠くで水月が俺を呼ぶ声が聞こえる。ああ、くそ。クナイに何か仕込まれてやがっ…たな………意識が………遠の………く……―――――――――――――――――――――――――――
























目を開けた時、空は薄暗くなっていた。まだはっきりしない頭で周りを見渡す。辺りには誰のものか分からない血が飛び交っていた。そして見知らぬ忍達が倒れている。どうやら気絶してるだけで息はしているようだった。いつも殺すな、と言う忠告をしていたが、こんな余裕のない状況でよく守れたもんだ。肩の痛みはあるものの、それ以外に体に外傷はない。そこから推測すると水月は俺を庇いながら、こいつらを倒したんだろう。首切り包丁がないと言っていたのに、あいつは大丈夫なのだろうか。

水月を探そうと立ち上がった時、何かが足に当たる。目線を下に下ろすと、そこには水色が。これが何かと理解するのを頭が拒絶している。何だ、これは。頭が痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。俺は何を探そうと思ってたんだっけ。何を、誰を…。すい…水…

「水月………?」

ぺたん、と座り込む。力が入らない。ほんとは目が覚めた瞬間に視界に入っていた。俯せに横たわる水月を。認めたくない認めたくない。きっと夢だ。これは夢にちがいない。

俺は水月と思われるソレの髪を掴む。

「水月起きろ。早く帰るぞ。カリンと重吾が待ってる」

「………」

「なあ、この前のこと怒ってるのか?俺が悪かった。だからふざけてないで目覚ませ」

「………」

「……俺はもう怒ってねぇから……ねぇ」

「………」

「…れよ…触れよ水月…ベタベタしてきてももう怒んねぇから…水月…ッ…触れよ!」

「………う、るさ…いよ…サスケ」

「……っ!?」

視界が涙で滲んだ時、幻聴が聞こえた。

「泣いてるの?」

ツラそうに体を起こした水月に頬をぺちぺちと叩かれた時、痛くて、夢じゃないのが嬉しくて俺は水月に抱き着いていた。

「なにサスケー甘えん坊ー?」

クスクスと楽しそうに笑い声を含ませ、水月は俺の背中に手を摩ってくれた。

「よしよし」

幼子をあやすような態度にむかついたけど、それ以上に水月が無事で良かったと心からそう思った。





――――――――――――





「サスケーッ」

「暑苦しい」

「いでっ」

背後から抱き着いてくる水月にためらいなく裏拳を入れる。手応えがあったようで、後ろには鼻を押さえて痛みに涙を浮かべる水月がいた。

「痛いじゃないかサスケ!」

「そりゃあ痛くしたからな」

「話が違うよ!?」

「知るか」

「うわ!可愛くない!」

可愛くない可愛くないと連呼する水月に可愛くなくて結構だ。と舌打ちする。

「サスケは僕のこと嫌いなんだねえ…」

わざとらしく落ち込んだ水月の声に眉をしかめる。

「誰も嫌いなんて言ってない」

「サ、サスケェッ!」

飛びついてくる水月にもう一発裏拳入れた。








-------------PS,
やっちまった感満載ですね、すいませんorz
また泣かせてしまった
もっとサスケをツンツンさせたかったんですが………
あとあの忍達はどっかのやつらです←追い忍とかでいいと思います(適当
水月が愛の力で倒して(←)疲れて寝てましたね、あいつ←←