目の前にあるのは数冊の積み重ねられた雑誌。ただの雑誌じゃない。いわゆる"エロ本"ってやつだ。雑誌の表紙には『熟女でお仕置き』とか書いてある。好奇心で中を覗いて見たけど、えげつなくて直ぐ閉じた。別にエロ本を読んでる事は構わない。男として女の身体に興味があるのは当然なことなんだろう。俺には全くないが。ただ、その…カカシも俺とそういうことしたいのかなって…。自分で考えただけで顔が熱くなった。だって、まだキスさえもしちゃいない。俺が雑誌と睨めっこしてるとカカシがお茶を入れにいったのから帰ってきた。
「サスケ、何して…ああああああ!!!」
俺がエロ本を見てるのに気付いたカカシは急いで目の前からエロ本を窓の外に投げた。ああ、外にいる奴びっくりしてるだろうなあ。
「これはその違って!えとアスマが俺に無理矢理押し付けてきて!だから違うんです!捨てないで!サスケェ」
大人気ない情けない面してカカシは俺に抱き着いてきた。ぐすぐす泣くカカシは本当に俺に捨てられるとでも思っているのだろうか。馬鹿らしくて笑えた。
「俺がアンタを手放す訳ねぇだろ。それにエロ本くらい別に構わない」
「……え?そうなの…?」
「ああ」
「うわあああん、ありがとう!サスケ!大好き!」
一旦俺の顔色を伺うように離れたカカシは、俺が本当に怒ってないと分かった途端もう一度抱き着いてきた。大の大人に飛びつかれて受け止められるわけもなく、そのまま俺は後ろに倒れ込んだ。カカシは俺に覆い被さるようにして抱き着いている。誰かがみたらカカシが俺を押し倒してるようにも見えるだろう。
「お、悪いサスケ。大丈…っ!?」
俺から離れようとするカカシの首へと腕を回す。顔は見えないけどカカシはきっと驚いたように目を丸くしているだろう。その顔が見れないのは残念だが、赤くなってる俺の顔が見られないので有り難い。
「サスケ?」
「……カカシ…俺…アンタがシ…シたいならシテもいいぞ…」
言い終えると同時にカカシが勢いよく俺から離れる。きっと、カカシは驚いてる。けどその表情を見てる余裕なんてない。恥ずかしくて死んでしまいそうだ。カカシの首から引き離された両手で顔を覆い隠した。
「サスケ」
いつものふざけた声と違って、色っぽいカカシの声。初めて聞いたかもしれない。顔がみたいのに見れない。どんな顔をしてるのか。見たい。けど見られたくない。
「いいの?」
今度は耳元で囁かれた。息が耳にかかってびくっと身体が震えたのが余計恥ずかしかった。俺は黙って頷いた。今は恥ずかしさでまともに話せそうになかったから。その時カカシに顔を隠してる両手を捕まれた。俺はいやいやと両手に力を入れたつもりだが、力が入らずあっさり顔をさらけだされた。
「可愛いなあ、サスケは」
クス、と笑う声が上から聞こえ、カカシの顔を嫌でも見てしまう。術にでもかけられてしまったかのように身体が動かない。
「……ふ、」
不意に唇を塞がれた。突然のことで驚いたけど、カカシ唇って意外と柔らかいな。なんて考えてると唇を舐められた。
「カカ…っんん…」
訳が分からなくて名前を呼ぼうとした時、口の中に熱いものが侵入してくる。それはすぐに俺の舌に絡みついた。ねっとりしてて変な気持ちになる。これが気持ちいいってことだって知らないからくすぐったいけど、それだけじゃなくて何度も自分の身体がビクっと跳ねたのが分かった。ぴちゃぴちゃと聞こえる音が恥ずかしくて鼓動を早くする。
「…ふ、…っはあ…かか…シ、」
「………っふ…」
名前を呼べばカカシが答えるように目を細めてくれた。それが嬉しくて自分でも積極的に舌を絡めた。しだいにカカシか俺のかどちらかのか分からない唾液が、俺の口から溢れる。塞がれた口で息がすることも出来ずカカシの胸をぎゅっと押した。するとカカシはようやく俺を解放し、汗でびっしょりの俺の額に軽いキスが落とされた。
「……っはあ…は、あ…はあ」
慣れないことで酸素が足りず、胸を上下させる。その間カカシはただ微笑んで俺の髪を撫でてくれた。
「……カカシ」
ようやく息が整った俺は愛しい恋人の名を呼ぶ。キスだけでクタクタになってしまった俺にカカシは呆れているだろうか。体を起こしてカカシを見つめるとカカシは突然ふ、とふきだした。
「…っはは…あはは…」
急に笑い出したカカシに思わず顔をしかめてしまう。ついにおかしくなったのか。びょ、病院に連れて行かないと。そんな事をいたって真面目に考えていた時、カカシに抱きしめられた。
「お前はほんとに可愛いね」
突然何かと真意は分からないけど、抱きしめられた温もりが嬉しくて、俺はただ黙ってカカシの胸に顔を埋めた。
「俺はねサスケ。そりゃあ出来るならお前とシたいよ?」
「…………だったら俺は」
「でもね、サスケは今日キスだけでも怖かったんじゃない?」
言葉が出なかった。
決して嫌ではなかった。それは確かだ。けれど怖かったかと聞かれれば、そうじゃないとは言い切れない。カカシが急に変わったようで、言い知れない不安がおしよせたのは事実だ。
俺が黙っているとカカシはまたクスクスと笑った。
「今日サスケが俺の為に言ってくれたことは嬉しかった。でも、いいんだよ。俺達のペースで。それまではサスケの写真をおかずにするよ」
「……それとエロ本だろ」
「あれ!?やっぱ怒ってる!?やっぱり怒ってる!?」
「怒ってねぇよバーカ」
またしても情けない面になるカカシはやっぱ大人気なくて。それでもアンタのそばで少しずつ大人になれればいいなって思った。俺が不意打ちでカカシの頬にキスするとカカシの顔が真っ赤になった。さっきのアンタはどこいったんだとおかしくなる。幸せすぎて、やっぱり少し怖かった。
-----------PS,
結構かくの楽しいと気付いたカカサスw
初めてだったんですが、あΣ(・`ロ・ノ)ノ
ちなみにこれ第七班時代です(遅