背中合わせ #2前【N/忍/ナルサス/完】 | ナノ









キラキラと眩しい光を太陽が放つこんな日は外で遊ぶチャンスに他ならない。

グランドは戦場だ。
誰がどれだけ広い範囲の遊び場所を確保出来るか。その戦場において年の差は関係ないのだ。

授業が終わる1分前、誰もが息をのむ。この時間程長いものはないのだ。先生が話を続けていようがお構いなしに教科書を片付ける者もいれば、今にも飛び出していけるように、腰をうかす者もいる。

かくいうナルトもドア一点を見つめ、チャイムが鳴るその時まで今か今かと胸を躍らせていた。

「であるからにして、この答えは…」

キーンコーンカーンコーン

一瞬だった。
チャイムが鳴り終わる時には、クラスの女子と先生、そして数人の男子しかクラスには残っていなかった。

先生であるイルカはいつものことではあるのだが、やはり今日も生徒達の見せるこの神技にフリーズしてしまうのだった。

チャイムと同時に教室から飛び出してくる生徒達。ナルト達は今三年生で、不覚にも教室は三階であった。二階にいる一年生達は敵ではないが、問題は一階の四年生であった。特に危ないのは四年三組のリー、ネジ、テンテンと呼ばれる三人組だ。何でもあのクラスの担任ガイ先生は学校で一番、否この地域で一番と言っても過言ではないくらい熱血的な先生であった。それとこゆい。だからそのクラスではグランドに誰よりも早く着いたものには宿題ナシというルールがあるらしい。羨ましい。
何故四年が敵かは一階だからとかガイ先生だからとか、理由はそれだけでない。五年、六年になるとグランドで遊ぶことへの興味は失せ、男女で楽しくお喋り等という茶番に興味が出てくるのだ。グランドで遊ぶものはいるが『俺等もう餓鬼じゃねぇし?グランドの場所くらいで文句いったりしねえし?』と妙に大人になろうとするのだ。つまりグランドでの最大の敵は四年生になるのだ。

駆け足で階段を降りて行く同士を横目で見たナルトは、階段に向かおうとせず廊下の窓に向き合い、勢いよく窓を開けた。

「あれ、お前走んねぇのか」

声をかけてきたのはクラスメートのシカマル。皆が必死に走ってるというのにこの男は呑気に欠伸をしながら教室から出てきた。ナルトはシカマルを見てニッと笑うと、再び窓へと向き直る。

「今から行くんだってばよ!」

「おまっ…!」

シカマルが叫んだのも無理はない。もしかしたら大方の人はお分かりかもしれない。そう、ナルトは叫んだと同時に窓をくぐり抜け、そのままグランドへと飛び降りたねであった。ここで訂正しておくがナルトは忍者ではない。そりゃあたまに休憩中に友人と忍者ごっこをして『螺旋丸!』『千鳥!』等とふざけることもあるが、決して忍者等ではないのだ。普通の小学生三年生が学校の三階から飛び降りた。それはもう危険極まりない行為だった。が、それを無傷でやってのけるのが意外性No.1生徒のナルトであった。

シカマルの焦りとは裏腹に、無事グランドに着地したナルトはまたもやニッと笑うと、シカマルにVサインをして見せた。ほっと安堵したシカマルだが馬鹿な友人には呆れるといったように溜息すら出た。

上靴のままグランドの中心へと走っていくナルトに後で靴を持っていってやるか、とシカマルはのんびり歩き出したのであった。






「ナルトッ」

飛びついてきたのはサスケ。ナルトの分身である、双子の弟であった。多分。何が多分かというと、どちらが兄でどちらが弟かということ。双子なんだからどっちも一緒だろ、とは言わせない。これは大変重要極まりないことなのだ。サスケはどっちでもよさそうだからナルトが兄ということにした。

そして飛びついきた。という表現に首を傾げた人はいるだろうか。そう、この時のサスケは素直だった。いつだってナルトにくっついていたし、ナルトが大好きで仕方なかったのだ。そんなナルトも可愛い弟(仮)の面倒を存分にみてあげていた。ある時期を堺に、サスケのツンが発動するすることをこの時のナルトはまだ知らない。それはまだ先の話なのではあるが。

「サスケ」

ナルトは幼いなりにサスケの頭を優しく撫でてやれば、嬉しそうにサスケが笑った。

「ん?」

サスケがある異変に気づき、目をぱちくりさせた。

「ナルト上履きのままじゃんか。靴は?」

ナルトの足元とナルトの顔を交互に見ながらサスケは頭の上にハテナマークを浮かべる。ナルトはえへへ、と照れ臭そうに笑うと昔の漫画で「よせやい」と鼻の下を指で擦るガキ大将のような仕草をまんましてみせた。

「三階から飛び降りたんだってばよ!」

「え!?」

ナルトの言葉を聞きサスケがフリーズする。ナルトが三階が飛び降りる様子を想像したのだろうか、サスケの目にはみるみる涙が溜まっていく。
ナルトは急いで首をぶんぶんと左右に振った。

「でもほら!俺ってば怪我なかったから!心配すんなってば!なっ?」

あやすようにナルトが言うとサスケは黙ってこくこくと頷いた。その時に良かった、という言葉もきちんと忘れずに。







--------PS,

まだ本題に全然入ってないし、凄く微妙なトコロですがこれは前半・後半にわけたいと思います^^

私の更新が一気にあるのは書き溜めがたくさんあるからなんです