雨だってたまには悪くない【N/国/アルアサ/完】 | ナノ






暇だ

ザァザァと雨が降るこんな日は、外出さえ出来やしない。ジメジメして蒸し暑い。雨なんて何もいいことない。暗い天気と一緒に気分まで暗くなる。

ピカっと辺り一面が光った後、ゴロゴロと地が揺れるような音が鳴り響く。何処かで雷が落ちたのだろう。光の後にすぐ音が聞こえたのから推測すると、結構近い所に落ちたようだ。
こんなにつまらないのなら、いっそ自分の家に落ちてくれはればいいのに、なんて。雨は思考回路までおかしくさせるようだ。

雨なんて嫌いだ。

自分は二日、三日雨が続いただけでこんなにまいるのに、毎日のように雨が降り続ける彼はどうなんだろうか。

やはり紳士だから、と傘をささずにいるのだろうか。

馬鹿らしくて、ふ、と笑みがこぼれる。





もう一度窓に目をやると、雨は相変わらずで。だけど、変わったことが一つ。窓の外にはズブ濡れの彼、イギリスが。

イギリスのボサボサの髪は雨で濡れて真っ直ぐになっている。

イギリスは俺が見てることにまだ気付かず、俺ん家のチャイムを押そうか、押さまいと、指を遊ばせる。ここまで来たなら迷っても仕方ないだろう。出した手を引っ込め、また押そうとしては引っ込める。延々と続く無限ループ。

あぁ、蒸し暑い

こんなに暑いんだから雨に濡れるのも悪くはないだろう。

暑いから、なんて

君と俺とはどこまでも兄弟らしい。



雨だってたまには悪くない







■後書き■
ツンデレ兄弟

私はメリカが好きらしい