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*なんちゃってNARUTO世界
*みんな仲良し/誰も里抜けしてない
*イタチとサスケの大きくなったらアイスを一緒に食べようね、の実現ver





「お待たせ致しました。抹茶アイスとバニラアイスです」
「ありがとうございます」

軽い会釈と共に人の良い笑みを浮かべたイタチに、アイスを運んできた女の店員は頬を桃色に染め、好意を示した。
それに舌打ちをしてやりたい気持ちを込め、サスケはふんと鼻を鳴らした。

「どうした?」
「…別に」

肘をついてそっぽを向くサスケを気にした様子もなく、イタチはサスケと己の前にバニラと抹茶アイスを置いた。

「いただきます」
「………」

律儀に両手を合わせたイタチに対し、サスケは手をつける素振りを見せず、人差し指で机に一定のリズムを刻み音を鳴らした。

「食べないのか?溶けるぞ」
「……分かってる」
「ああ、喉が渇いたのか」
「は?ちがっ」
「すみません、水二つお願いします」
「はぁーいっ」

黄色い声がここぞとばかりに返事をして、一瞬の後、現れたのは顔の整った美人といわれる部類の女店員で、媚びを売るような笑顔にサスケは今度こそ舌打ちをした。

「…ヘラヘラしやがって」
「ん?何だ?」
「別に、何もねぇよ」
「そうか」

それでよく納得できるものだが、それ以上追求してこないイタチは淡々と手を進め、流石甘味好きと言うべきかみるみる内に器の中のアイスが減っていく。
溶けかかったアイスに溜息をこぼし、ようやくサスケはスプーンを手に取った。

バニラを口に含んだ時、広がる甘さに思わず顔をしかめた。

「つーかなんで俺のバニラなんだよ」
「ん?」

サスケの漏らした独り言を今度は聞き逃さなかったらしく、イタチは首を傾げるようにして、サスケの顔を覗き込んできた。
というのも、イタチとサスケが甘味屋に来て席につくなり、メニュー表を見る隙も与えずイタチはバニラアイスと抹茶アイスを勝手に注文したのだ。

「他の味が良かったのか?」
「……え、いや」
「お前は昔からいつもバニラだっただろ?」
「まあ…、ん」
「何が良かったんだ?」
「………っ別に!これでいい!」

声を張り上げたサスケはこの状況から逃げるようにバニラアイスを口の中に流し込んだ。
しつこい甘さにうんざりしながら、サスケの苛々は限界にまできていた。

あの約束をイタチは忘れてしまったのだろうか。それともイタチにとってまだまだ自分は子供なのだろうか。
どちらも悔しくて腹が立つ。それでもここで感情のままに怒ってしまえば子供の頃の自分と何ら変わりない。

食べ終わって空になった器の一点を見つめながら、サスケは耐えるように膝の上で拳を握りしめた。

その時、ふわりと小さな重みがサスケの頭の上に乗った。
驚いたようにサスケが顔を上げると、案の定イタチがサスケの頭を撫でていた。

「……何」
「いや、大きくなったなって」
「子供扱いすんな」

宥めるように頭を撫でられむっとしたサスケがイタチの手を払い、苛々も隠さずそう言えば、潔く手を引っ込めたイタチは「してないぞ」と笑った。

「してるだろーが」
「アイス一人で食っちゃったな」
「はあ?それがなんだよ」

突然話題を変えるイタチのマイペースぶりにサスケは眉間の皺を深くして声を荒げた。

「昔は必ず残してたのにな」
「…そりゃ…まあ」

笑うイタチの表情が寂しそうなものに変わるものだから、戸惑ったサスケは気まずそうに目を逸らした。

「…寂しい?」

からかうように言ったつもりが思ったより照れが入ってしまい、その声は小さくなってしまった。

「ああ、寂しいぞ。サスケが離れていってしまうみたいで」
「……………あっそ」

嬉しいのか恥ずかしいのか、何やら熱くなる顔を隠すようにサスケは頬杖をついてそっぽを向き、苦し紛れに咳ばらいをした。

「今度は、抹茶食べたい」
「ん?」
「きっと残すかもしんねぇけど、そん時は兄さ…が責任持って食えよ」
「ふっ…しかたないな」

でも約束したもんな?
そう言って嬉しそうに笑うイタチの声が、頭を撫でる手と共にサスケに届く。
今度は払うような真似はしなかった。吊り上がる口元は決して見せないけれど。
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