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うふふふふふふふふふ

向かいに立つ美しい女性(ヒト)につい見とれてしまう。こんなに綺麗なのは犯罪じゃないのかしら?
血の色よりも真っ赤な服を纏ったミニスカートがよく似合うその人は、服とセットの真っ赤な帽子を被っている。極めつけはその帽子の先についてる白いボンボン。
もっと見ていたくて前へ前へと歩み寄る。嗚呼…美しい…。貴方の名前が知りたいわ。


「大蛇丸様、そんなに鏡に張り付かれてどうされたのですか」
「あら、カブト」














サスケ君と暮らし始めて早数年。初めは人見知りをしていた彼もすっかり私達に懐いてくれて今ではもう家族も同然。私の顔を見る度「キモイ」「変態」とか言ってくるけど分かってるわ。あれはサスケ君なりのコミュニケーション。親しい仲でなければ言えないもの。大丈夫分かってる。先日の参観日の件だって「俺だけのアンタを皆に見せたくない」って泣きつかれて渋々行かなかったわ。サスケ君ったら独占欲が強いんだから。

とまあ、血は繋がってなくとも本当の家族より絆が強い私達なのだけれど、もうすぐある一つのイベントが訪れる。
そう、それは毎年恒例クリスマス――。サスケ君は普通の10歳よりも大人びていると言っても所詮は子共。まだサンタを信じている。そんな可愛い可愛い我が子(のようなもの)の夢を壊さないようするのが親の役目というもの。

そうして私は毎年こうしてサスケ君だけのサンタとなるの。


「毎年思いますが、何故スカートなんですか」


私がまだ鏡の中の自身に見入っていると、背後から再びカブトの声がかかった。
私は自慢の長い美しい髪をばさっとなびかせてニコリと笑ってやった。


「似合うからよ」
「………そ、ですか」


カブトが苦い顔をしてる。ああきっと当たり前すぎる質問を投げかけた自分に悔いているのね。いいのよ気にしなくて。
そこまで納得した私は一人頷いていたが、ふと大事なことに気がつく。


「そういえば、カブト。貴方あれは用意出来たの?」
「ええ、バッチリです」


こちらに。とクリスマス仕様にラッピングされたプレゼントを片手に、自身ありげに眼鏡を押し上げたカブトにイラっとはしたが、用意出来たなら良いかと再び鏡に向き合う。
ちなみに"あれ"とはサスケ君にあげるプレゼントのこと。昨年はiPodで一昨年はWiiをあげたわ。毎年サスケ君は26日の朝にあげたプレゼントを抱えて私達の前に表れて「ありがと」とはにかんで言うの。だから私達は「サンタに伝えとくわ」って笑うわ。
そして今年のプレゼントはとっておき、きっとサスケ君も喜ぶわ。


「サスケ君の様子は?」
「3時間前に布団に入りましたから、もう眠ってはいるでしょう」
「そう…ならそろそろね」
「何がそろそろなんだ?」
「う゛ぉ!?」
「きゃ!?」


不意にかかった声にびくっと肩が跳ね、私としたことが思わず野太い声が出てしまう。それにしてもカブトの奴可愛い声ね…等とくだらない事を考えながら、そっと後ろを振り返るとそこには眠そうに目をこするサスケ君がいた。


「サ、サスケ君…」
「あの、サスケ君、こっこれは…」
「あー…アンタまたそんなキモイ服着てんのか、引くわー。つかプレゼント置くだけで着替える必要あん…」


私を見るなりあからさまに顔を歪めたサスケ君は言い終える前に大きな欠伸を一つ漏らした。
サスケ君の口から出た暴言は聞かなかったことにして、私はカブトと顔を見合わせた。


「…ど、どういうことかしら?」
「サスケ君まさか気付いて…」


焦る私達をよそにサスケ君は服の裾で涙をぬぐって、ぶっきらぼうに「寝る」と言った。


「え、ああ…おやす…」
「ん?これ俺んとこ持ってくつもりだったんだろ?今貰っといてやるよ」


そう言ってサスケ君はカブトの手からプレゼントを奪い取った。


「良かったな、俺の部屋来る手間が省けて。じゃあおやすみ」


背中越しに手をひらひらと振ったサスケ君はプレゼントを抱えたままサスケ君の部屋のある2階へとあがっていってしまった。


「………カブト」
「はい」
「現代っ子は怖いわね」
「…はい」








―翌日


「おい」
「あら、おはようサスケ君」
「おはよ…で、これ何だ」
「私のプロマイド集よ」
「………うぜぇ」




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